『100万回 言えばよかった』事件の真相を考察 悠依の過去に大きなヒントが?

『100万回 言えばよかった』の真相を考察

 井上真央主演のTBS金曜ドラマ『100万回 言えばよかった』は、佐藤健演じる死んだ彼氏が幽霊となって彼女に想いを伝えようとする、切なくも温かいファンタジーラブストーリーだが、ミステリー要素も強い作品だ。そこで、現段階における事件の真相や真犯人を考察してみたい。

 14歳の頃に里親施設の広田家で共に暮らしていた、美容院「ミーレ」の店長・相馬悠依(井上真央)と、洋食屋「ハチドリ」のシェフ・鳥野直木(佐藤健)が、2年前、20年ぶりに再会し恋人同士に。悠依の誕生日のお祝いをしようとしていた2023年1月13日に、直木は不可解な事件に巻き込まれ、死の世界に足を踏み入れるも、プロポーズの想いを伝えられなかった「思い残し」から、幽霊としてこの世を彷徨うことになる。直木の死に関わる事件を捜査する刑事・魚住譲(松山ケンイチ)の実家は千年続く寺で代々霊媒の家系。譲は直木の霊が見えてしまい、悠依と直木の仲介役となり、事件の真相を解明していく。

莉桜(香里奈)をとりまく謎

 直木の死に大きく関わるのが、譲が追っている西山町女性絞殺事件。被害者の高原涼香(近藤千尋)は、買い物依存症の治療で2年前から精神科に通院。自己破産してブラックリストに載っているにもかかわらず、入手先が不明な現金300万で買い物をしている。自宅マンションで絞殺体で発見され、死亡推定時刻は1月12日の15時から17時。マンションの防犯カメラの映像から、同日の15時30分に直木が訪れている。

 直木が訪れた理由は、広田家で一時期生活を共にしていた尾崎莉桜(香里奈)を探していたことから。莉桜は小学生の頃から騒動を起こす問題児で、高校を卒業する頃には姿を消している。里親の広田勝(春風亭昇太)が預かっていた莉桜の私物に500万円の現金が残されていたことから、広田から行方を捜し返却するように直木は託されていた。莉桜の中学時代の友人である涼香が、彼女の連絡先を唯一知る人物だと知った直木は、涼香のマンションを訪れたのだった。

 そして、その夜、直木の元に莉桜から電話があり、翌日の13日に会う約束をする。その時には既に涼香はマンションで死んでいる。後に防犯カメラに莉桜が映っていたことが分かり、涼香が殺される前に訪れていたことが判明。2人の間に金銭トラブルがあっての殺害か? しかし莉桜はなぜ直木に連絡をしてきたのか。莉桜は傷害事件を起こすような人物なだけに、何かの口封じのために直木を殺したのだろうか? ただ、直木のスマホには、13日の15時26分に莉桜から「待っています。何かありましたか」とショートメッセージが残っていたことから、会えずに他の誰かに殺された可能性が高い。莉桜が事件に関わっているのは明白で、涼香と金銭トラブルがあったのかも知れないが、むしろ親身になっていたと予想する。

悠依(井上真央)の過去には何があった?

 第4話の最後に、悠依が広田家を訪れると、床に敷いてあったカーペットがなくなっていた。花瓶を見ると直木の遺体の左手の中にあったものと同じ花があり、「直木はここに来たのかも?」と疑う。また、中学生時代(?)の莉桜と涼香、悠依の3人の遊園地での写真が見つかる。そして、直木はハサミに目をやり、古時計が正午の鐘を鳴らすと、苦しみ出す。真実に近づいたことで、成仏してしまう苦しみなのか? ハサミで刺され、カーペットは血で汚れ処分したのか。広田家が殺害現場の可能性が高くなる。

 しかしここまで大事件になっているにもかかわらず、悠依が涼香のことを思い出せなかったというのが不可解だ。さすがに悠依の二重人格説はないと思いたいが、直木の死体に直面した時の「絶対許せない」という激しい憎悪の姿はその片鱗か。直木は悠依に言わずに動いていることが多く、莉桜と連絡をとっていたことを隠していたのは、悠依に言えない理由が他にあるはず。悠依の何かを守るために直木が身を挺して殺されたと推測する。

 広田家に預けられた子どもたちは、それぞれ複雑な家庭事情がある。直木は、血液の病を患う8歳年下の弟・拓海がいて、骨髄ドナーとして直木が適合者として3度の移植をしている。拓海の治療をめぐり直木は父に反論したことで、父はその日から直木に暴力をふるうようになり、その生活に耐えきれず施設に行く決意をした壮絶な過去がある。父親は今でも離れられてほっとしていると言うほどで、母親は弟を溺愛し、直木はドナーとして必要なだけで、愛情はいっさい感じられない。これが事件に繋がるのかは分からないが、では、悠依の過去はどうなのか? ここに大きなヒントが隠されている。

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