『鬼滅の刃』童磨役で宮野真守の真価が発揮される 二面性のある“狂キャラ”で光る持ち味

『鬼滅の刃』童磨役で宮野真守の真価が発揮

 また『DEATH NOTE -デスノート-』同様、童磨に通じる演技性を感じるのは『東京喰種トーキョーグール』の月山習を挙げたい。月山でまず思い浮かべるのは、フランス語やイタリア語の混ざった独特な口調だ。「トレ!! ビアンッ!!」といった感嘆符多めのいかにも風変わりな口癖を含めて、宮野らしい芝居がかった空気を感じさせない自然な演技で完全に月山を作り出していた。

 そして月山もまた、紳士的で物腰穏やかな表の顔に対して、食に対する異常な執着と卑怯な行いを厭わない好戦的な二面的な性格を持つ。主人公・金木研との戦いでは、「美食家」の名に恥じない、食事へのこだわりに狂気を超えた変態性すら感じられた。

 こうして並べてみると宮野の演じる“狂キャラ”たちは、オンオフのギャップがあるアクションシーンも非常に魅力的であることに気づかされる。そして『鬼滅の刃』で宮野が演じる童磨も、黒死牟に次ぐ強さを持った鬼・上弦の弐であることを忘れてはならない。『ワールドツアー上映「鬼滅の刃」上弦集結、そして刀鍛冶の里へ』を踏まえて、宮野が演じた過去作品それぞれのアクションシーンを比較してみるのも面白いかもしれない。

 まだまだ登場シーンは少なく謎も多い童磨だが、宮野との相性の良さを感じさせるキャラクターとの共通点は多い。また、鬼といえばこれまで、それぞれが鬼になるまでの背景や美学も詳しく描かれてきた。童磨は何を背負い、そして宮野がそれをどう表現するのか。この先の展開の中でも、宮野らしさを存分に振りかざした童磨の姿が楽しみだ。

■公開情報
『ワールドツアー上映「鬼滅の刃」上弦集結、そして刀鍛冶の里へ』
全国公開中
原作:吾峠呼世晴(集英社ジャンプ コミックス刊)
監督:外崎春雄
キャラクターデザイン・総作画監督:松島晃
脚本制作:ufotable
サブキャラクターデザイン:佐藤美幸、梶山庸子、菊池美花
プロップデザイン:小山将治
美術監督:衛藤功二
撮影監督:寺尾優一
3D監督:西脇一樹
色彩設計:大前祐子
編集:神野学
音楽:梶浦由記、椎名豪
アニメーション制作:ufotable
配給:東宝・アニプレックス
出演:花江夏樹、鬼頭明里、下野紘、松岡禎丞、小西克幸、河西健吾、花澤香菜、関俊彦、置鮎龍太郎、宮野真守、石田彰、古川登志夫、鳥海浩輔、沢城みゆき、逢坂良太
©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable
公式サイト:https://kimetsu.com/anime/
公式Twitter:https://twitter.com/kimetsu_off

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