『大病院占拠』鬼たちのなかで勃発した内紛 隠しシェルターは人質の逆襲の一手となるか

『大病院占拠』鬼たちのなかで勃発した内紛

 “鬼”たちの顔が見えるだけで、ドラマ全体の雰囲気が一変する。『大病院占拠』(日本テレビ系)は2月18日に放送された第6話から後半戦に突入した。「鬼退治篇」と銘打たれてはいるものの、三郎(櫻井翔)が青鬼(菊池風磨)から制限時間を提示され、病院関係者の誰かの“罪”を暴くために奔走するという病院外で起こるおおよその流れに変化は見受けられない。対して病院内では大きな動きがあらわれる。鬼たちのなかで、内紛が勃発するのである。

 「百鬼夜行ちゃんねる」と因幡(明日海りお)の「イナバウアーチャンネル」のコラボ配信を前に、灰鬼(水橋研二)と桃鬼(浅川梨奈)の常陸親子は人質である裕子(比嘉愛未)に自分たちの正体と目的を告げ、残る人質5名を院長室にある隠しシェルターに連れて行く計画を持ちかける。一方で、えみり(吉田帆乃華)を探すためにホテル・オシマにたどり着いた三郎は、ちょうどその場所で1年前に播磨(津田寛治)が犯した“罪”を暴くことを青鬼から命じられる。そして、まだホテル内にいると思しき“紫鬼”の足取りを追い始めるのだ。

 灰鬼・常陸の手引きによって院長室の奥にある隠しシェルターへと逃げ込む人質たち。第1話で茶鬼(大水洋介)と橙鬼(森田甘路)の加賀兄弟が口にしていた「例の場所」というのが隠しシェルターを指すのかはわからないが、いずれにせよ赤鬼(忍成修吾)のハッキングの手も行き届かない特殊な場所なのは一目瞭然だ。内縁関係にあった甲斐正美(西原亜希)の死の真相を探るために鬼になったという常陸。第4話で「正美の遺志を私たちが継がないと」と、“まだ終わりでない”ことを言っていた2人だが、今回病院内で繰り広げられた鬼同士の銃撃戦。犠牲を出さないという当初の約束を遂行しようとするあまり、常陸親子は他の鬼たちと敵対しつつある。

 ところで隠しシェルターへと入る直前、安芸(呉城久美)の薬を落としてしまい、裕子はそれを取りに戻ろうとする。しかしそこへ茶鬼と橙鬼が駆け込んできて、薬を諦めて隠しシェルターのなかに逃げ込み扉を閉める。武装した男たちが締め出される様子と、インスリン注射を必要とする患者が避難室に入る点は、デヴィッド・フィンチャーの『パニック・ルーム』を想起させる。ともすると、同作のように隙を見て隠しシェルターから抜け出し、鬼たちへ逆襲するという展開もあるのだろうか。

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