麻美のやり直しは『アバウト・タイム』をなぞる? 真の『ブラッシュアップライフ』を考察
ブラッシュアップの本当の意味とは
タイムリープをする中で、保育園の先生の不倫を防いでみたり、周囲の人々の危機を救ってみたり……。麻美は他人のために奔走し、確実に良い行いを重ねているように見える。それでも希望の生命へ転生できない麻美をみていると、そもそも人生をブラッシュアップするとはどういうことなのかを考えずにはいられない。過去の人生の失敗を防ぐことなのか。それとも、成功体験をもっと多くの人が喜ぶような徳につなげることなのか。
バカリズム演じる受付係の言葉をそのまま借りるなら、「自身の人生を修正する」ことが正しい人生のブラッシュアップである。しかし、それは誰の幸福を目的とした行動なのかを考えると、麻美の行いが正解なのかは考えてしまうところだ。徳を積むことを優先させた結果、親友たちとの絆を失ってしまった麻美は本当に幸せなのだろうか。
物語になぞらえて、仮にタイムリープをできる力が自分にあったとしても、「ただ他人のために人生の失敗を修正すること=幸福に繋がる選択肢」なのではないのではないかとすら考えてしまう。『ブラッシュアップライフ』の魅力がコメディ要素を交えた物語の軽快さにあることは承知の上で、人生を修正することの本当の意味の探求もテーマの一つにあるのではないかと思わされる。
人生をより良くしたいという願望は誰にでもあるはずだ。本作が示すのは、人生の幸福をどこに求めるべきかのヒントでもある。お金や地位や名誉、はたまた愛情など、人それぞれ人生の中で本当に手に入れたいものは異なるだろう。しかし、結局は「常識」という枠に囚われずに、自分軸で幸せとは何かを見つめ直さないと、人生の成功に辿り着くことはできない。麻美が第7話で、この核となる幸福のルールに気がついてくれることを切に願う。
皆が求めることを自分も求めているだけでは、待つのは苦しい結果でしかない。だからこそ、麻美は自分が最高の幸福に到る生き方を模索しながら、前進し続ける必要がある。そのことが他者への幸福につながると信じて、私たちも今できる“本当のブラッシュアップ”に、一度しかない日々で取り組むべきなのだろう。
■放送情報
日曜ドラマ『ブラッシュアップライフ』
日本テレビ系にて、毎週日曜22:30〜放送
出演:安藤サクラ、夏帆、木南晴夏、松坂桃李、染谷将太、黒木華、臼田あさ美、鈴木浩介、バカリズム
脚本:バカリズム
演出:水野格、狩山俊輔
プロデューサー:小田玲奈、榊原真由子、柴田裕基(AX-ON)、鈴木香織(AX-ON)
チーフプロデューサー:三上絵里子
企画協力:マセキ芸能社
制作協力:AX-ON
製作著作:日本テレビ
©︎日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/brushup-life/
公式Twitter:@brushuplife_ntv
公式Instagram:@brushuplife_ntv