川越の夜、映画に愛を込めて “負けたこと”がある人は涙する『銀平町シネマブルース』
お金の問題、家族の問題、仕事の問題……大人になり生きていくためには、直視しなくてはいけない現実があります。主人公・近藤はそこから一度逃げました。でも、また戻ってこられた。すべてを取り戻すことはできなかったとしても。どんな人でも正解を常に出し続けて、“勝ち”続けることは難しいです。ただ、勝てなかったからと言って、そこで人生が終わるわけでもないことを、近藤や登場人物たちの姿を通して本作は教えてくれます。
祭は終わりがあるからその一瞬が楽しく輝く。映画作りに魅了される人がいて、映画館に魅了される人がいて、映画に魅了される人がいる。世界各国で何百年と続いてきた理由のひとつが、本作には詰まっているように感じました。
すっかりヒットメーカーとなった城定秀夫監督に、脚本は数多くのピンク映画を手掛けてきたいまおかしんじさんと、ずっと映画を作り続けてきた2人が生み出した一作というのも感慨深いものがあります。
上映は少し先になるようですが、舞台となった川越スカラ座でも観たい一作です。
■公開情報
『銀平町シネマブルース』
新宿武蔵野館ほかにて公開中
出演:小出恵介、吹越満、宇野祥平、藤原さくら、日高七海ほか
監督:城定秀夫
脚本:いまおかしんじ
エグゼクティブ・プロデューサー:谷川寛人
プロデューサー:久保和明、秋山智則
共同プロデューサー:飯田雅裕
企画:直井卓俊
配給:SPOTTED PRODUCTIONS
製作:「銀平町シネマブルース」製作委員会
カラー/アメリカンビスタ/5.1ch/99分
©2022「銀平町シネマブルース」製作委員会
公式サイト:https://twitter.com/ginpeicinema