『100万回 言えばよかった』事件の真相を考察 悠依の過去に大きなヒントが?

『100万回 言えばよかった』の真相を考察

英介(荒川良々)は純粋にいい人?

 誰が見ても真犯人として疑わしいのが、「ハチドリ」オーナーの池澤英介(荒川良々)。学習塾も経営しており、料理はできないけれど月に1度、子ども食堂を主催している、見た目は子ども思いの良い人。直木との出会いは、2017年11月。直木の里親・勝の紹介で「ハチドリ」の調理師として雇っている。つまり広田家との繋がりを持っていることが分かり、悠依と莉桜が会う約束をするも、英介の姿を見かけ引き返したことから、涼香や莉桜と知り合いであっても不思議ではない。英介が警察から防犯カメラに映った人物を見せられても莉桜をスルーしていたのが逆に怪しい。

 次に、直木が15時26分の莉桜からのメッセージに返信していないことから、この時点で死んでいる可能性が高いが、警察に「1月13日16時22分に直木から電話があった」と証言し、アリバイ工作が疑われる。

 こども食堂に来店した木内海翔(三浦綺羅)が兄弟喧嘩をして行方不明となり、かつて直木たちと訪れたキャンプ場の山小屋に家出したことを聞いた英介が、「なんであんな所に」と囁く。海翔は途中で怖い物を見たと告げ、直人の死体を発見。つまり、英介は死体の所在を知っていた?

 直木にはこども食堂を終えた後に店を出た記憶がなく、気づくと部屋で寝ていた。つまりこども食堂にいる時に事件が始まっている。動機は何か。もし“子ども好きの変態おじさん”だった場合、かつて悠依と涼香と何らかのトラブルがあった。そこに涼香が手に入れた300万と関係があるのかも知れない。もしくは悠依が欲しくて直木を消したなど疑い出したらキリがない。ただ、演じる荒川良々のキャラから、誰かを庇っていたり、300万円に関しても心配してお金を貸していたなど、純粋にいい人の可能性も高い。

宋夏英(シム・ウンギョン)が鍵を握る?

 またもう1人鍵となる人物が、脳神経内科医の宋夏英(シム・ウンギョン)。悠依が車に轢かれそうになったところを助け、それ以降交流を深めていく。そして譲を目撃し、亡くなった夫と瓜二つだと言う。悠依がピンチの時など、いいタイミングに登場することが多い。譲が死んだ夫に似ているということは、実は譲も幽霊というM・ナイト・シャマラン的展開も考えられたが、強いて言えば、直木が幽霊から人として生まれ変わるヒントを握る存在ではないだろうか。

 脚本の安達奈緒子は、『きのう何食べた?』(テレビ東京系)や『おかえりモネ』(NHK総合)など人物描写を丁寧に描く作家だ。あくまでも「大切な相手には大切だってことを今、伝えよう」というメッセージの作品であり、“同情の余地がある犯行”という方向に行くのではないかと考える。まだ物語は中盤、空白の7時間に何があったのか? 様々な伏線からの考察も楽しみたい。

■放送情報
金曜ドラマ『100万回 言えばよかった』
TBS系にて、毎週金曜22:00~22:54放送
出演:井上真央、佐藤健、シム・ウンギョン、板倉俊之(インパルス)、少路勇介、穂志もえか、近藤千尋、桜一花、香里奈、平岩紙、春風亭昇太、荒川良々、松山ケンイチ
脚本:安達奈緒子
プロデューサー:磯山晶、杉田彩佳
演出:金子文紀、山室大輔、古林淳太郎
編成:中西真央、吉藤芽衣
主題歌:マカロニえんぴつ「リンジュー・ラヴ」(TOY’S FACTORY)
製作:TBSスパークル、TBS
©︎TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/100ie_tbs/
公式Twitter:@hyakumankai_tbs
公式Instagram:hyakumankai_tbs

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる