松岡茉優×古川琴音が考える、“何のために生きるのか” 初共演で感じた“特別な魅力”も

松岡茉優×古川琴音『スクロール』特別対談

松岡茉優「他者を理解することの“気づき”を与えてくれる作品」

古川琴音、松岡茉優

――本作に登場する4人のメインキャラクター、<僕>、ユウスケ、<私>、菜穂には、いまを生きる人々の姿が刻まれていると感じます。この4人の人物像をどのように捉えていましたか?

古川:何でも器用にこなしてその場をなんとかできるユウスケは、「なんであの人ばっかりうまくいくんだろう」という嫉妬心が芽生えるぐらいに私自身とは全然違う人物です。でも、本作を通して、そんなふうに見える人にも、その人にしかない壁があって、みんな等しく自分の人生に苦しんでいるんだなって。それが見えたときに、この4人全員が自分にも見えてきました。きっとそれは、映画を観てくださる皆さんにも思ってもらえることなのではないかなと思います。

松岡:メインキャラクターの4人は、現実世界で周囲にいたら、なかなか共感しづらい人物像だと思うんです。それは表面上しか見えないから。でも、古川さんが話していたように、彼らにもいろんな葛藤があり、人生を歩んできたことが、映画では覗き見をするような形でわかっていって。「どうしてこんなことを言うんだろう?」とか、「なんでわかってくれないの?」と思うことは、他者と接していれば誰にでもあると思うのですが、そう感じたときに、少し相手の歩んできた人生を想像してみることが、他者を理解することにつながると思いました。本作は、そんな他者を理解することの「気づき」を与えてくれる作品になっているのかなと、古川さんの話を聞いていて思いました。

――タイトルとなっている『スクロール』にちなんだ質問です。役作りをしていく中で、自分自身の過去を振り返ることは多いですか?

古川:台本を読んでる時に、「あの時そういえば……」って思うことはあるかもしれないです。

松岡:自分の人生が浮かび出てくる感じ?

古川:はい。特に『スクロール』の台本はそうで。今までの自分、自分の記憶の中にいる友達のこととか、映画を観ながら自分の人生を“スクロール”している感じがしました。

松岡茉優

松岡:古川さんとは現場では1日しかご一緒できてなくて、少ししかお話しかできなかったんですが、こうして取材日にじっくりお話を聞いていて……すごく守られてほしいなって思っちゃった。というか守りたい! この感覚と繊細さはなかなか持ち得ないものだと思うので、本当に特別な人だなって。

古川:いやいや、そんな優しい言葉をいただけて、うるっときちゃいます(笑)。

一同:(笑)。

――この映画の中には、「何のために生きるのか?」という問いが何度も出てきます。ずばりそのままお聞きますが、2人は、何のために生きていますか?

松岡:最後に一番答えづらい質問ですね(笑)。

一同:(笑)。

古川:え~。

松岡:なんでしょうねぇ。

古川琴音

古川:うーん。

松岡:ある?

古川:答えになっているかわからないのですが、役をいただいたときに何か近いというか。「何で生まれてきたか?」って考えたときに、そこに理由はないじゃないですか。それは役をいただいたときも同じで、何でこの役が自分にきたのかを考えることは重要じゃなくて、いただいたものをどう演じるかが重要だと最近ふと思ったことがあります。だから生きることも同じで、ただ自分が生きるために生きていいんじゃないかなって。……なんか恥ずかしい。

松岡:素敵! とっても素敵。そうだよね、この質問に直球で答えるのすごい恥ずかしいよ。全然大丈夫だよ。

――すみません(笑)。

松岡:私はどう生きるかよりもどうやって生きていくかの答えになってしまうのですが、みんなもっと自分を甘やかしたらいいのになってすごく思うんです。実は私自身も最近は“甘やかし上手”になっていて。『スクロール』を観て胸にくるものがある方は、きっと自分を甘やかすことが上手にできない方が多いような気がするんです。本当につらいときは自分が楽しいことを優先して、いろんなこと後回しにしていいんだよって伝えたいです。私だったら、ハロプロのライブに行ったり、マッサージに行ったり。自分が生き延びるためのメンテナンスをしっかりする。じゃないと動けなくなっちゃうから。毎日を生きているとやらないといけないことが山積みだと思いますが、たまにはすべてを後回しにする甘やかしを自分にしてあげてもいいよって。映画を観て、このインタビューを読んでくださっている方には伝えたいです。あと、個人的には塗り絵もおすすめです。

一同:(笑)

松岡:本屋さんに行ったら「大人の塗り絵コーナー」があったので、一冊買ってみたんです。家に帰って始めてみたらあっという間に3時間経っていて。塗っているうちに、「草の色は緑じゃなくてもいいのでは?」と思って違う色で塗っていったり、続けていると心が解放されていく感じがして。

古川:へぇ~。

松岡:映画館と合わせて本屋さんにも行ってみてもらえたら嬉しいです。

■公開情報
『スクロール』
全国公開中
出演:北村匠海、中川大志、松岡茉優、古川琴音
監督・脚本・編集:清水康彦
脚本:金沢知樹、木乃江祐希
原作:橋爪駿輝『スクロール』(講談社文庫【2022年12月刊行予定】)
音楽:香田悠真
撮影:川上智之
照明:穂苅慶人
録音・音響効果:桐山裕行
美術:松本千広
制作プロダクション:イースト・ファクトリー
配給:ショウゲート
©︎橋爪駿輝/講談社 ©︎映画「スクロール」製作委員会
公式サイト:scroll-movie.com
公式Instagram:@scroll_movie
公式Twitter:@scroll_movie

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【応募方法】
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※当選後、住所の送付が可能な方のみご応募ください。個人情報につきましては、プレゼントの発送以外には使用いたしません。
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<リアルサウンド映画部 公式Twitter>
https://twitter.com/realsound_m

<応募締切>
2月18日(土)

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