『THE LAST OF US』75分かけて描いた第3話の衝撃 2020年代をリードするクィアドラマに

『THE LAST OF US』3話の衝撃

 ビルとフランクがある決断を下した後、ジョエルとエリーは町に到着する。原作とは異なり、ここで手紙を遺しているのはフランクではなくビルだ。クレイグ・メイジンの果敢な脚色は原作で描かれることのなかったビルの感情に帰着点を与え、それは同時にテス(アナ・トーヴ)の重要性も高めている。原作では序盤に命を落とすテスについて、その後(固い決意の通り)言及されることはない。TVシリーズ版はジョエルとテスの関係を再定義することで、エリーとの旅路により強い動機付けを行っているのだ。そしてこの第3話は、後に描かれるエリーのバックストーリーの伏線にもなるだろう。原作では追加ダウンロードコンテンツとして発売された番外編『Left Behind ‐残されたもの‐』に登場するライリー役にストーム・リードがキャスティングされていることから、TVシリーズ版にもこのエピソードが取り入れられることがわかる。

 原作未読の視聴者には意外かも知れないが、『THE LAST OF US』は2020年代をリードするクィアドラマになるのは間違いない(それは先頃製作が確定したシーズン2でより決定的になるだろう)。この旅路はあなたが思い描いていたものと全く異なる景色を見せてくれるのだ。さあ、第4話へ。

■配信情報
『THE LAST OF US』
U-NEXTにて独占配信中
脚本・製作総指揮:クレイグ・メイジン、ニール・ドラッグマン
監督:クレイグ・メイジン、ニール・ドラッグマン、ピーター・ホアー、ジェレミー・ウェッブ、ヤスミラ・ジュバニッチ、リザ・ジョンソン、アリ・アッバシ
出演:ペドロ・パスカル、ベラ・ラムジー、ガブリエル・ルナ、アナ・トーヴ、ニコ・パーカー、マレー・バートレット、ニック・オファーマン、メラニー・リンスキー、ストーム・リード、マール・ダンドリッジ、ジェフリー・ピアース、ラマー・ジョンソン、キーヴォン・ウッダード、グレアム・グリーン、エレーヌ・マイルズ、アシュレー・ジョンソン
日本語吹替キャスト:山寺宏一、潘めぐみ、高橋広樹、田中敦子、朴璐美
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公式サイト:https://www.video.unext.jp/title_k/the_last_of_us

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