『ブラッシュアップライフ』スリル溢れるドラマ制作の裏側 “喜劇”のような麻美の人生

『ブラッシュアップライフ』喜劇な麻美の人生

 だが、気がかりなのがミタコング(鈴木浩介)が痴漢の冤罪をかけられてしまうこと。2周目の人生では、たまたま同じ電車に乗っていたため、冤罪だと証明してあげられたが、3周目の麻美は東京にいる。しかも、『花咲舞が黙ってない』の収録は夜まで続くため、地元に戻って助けてあげることは物理的に不可能だ。

 ここからの巻き返しが、第4話いちばんの見どころといっても過言ではないだろう。撮影時間を巻くために、現場の士気を上げたり、チーフ助監督に飯押し(=食事休憩を省いて、そのまま一気に撮ってしまうこと)を提案したり……。ドキドキハラハラする演出で、ドラマ制作の裏側を描いていく。最終的に、塚地武雅が奇跡の早入りを果たした時には、「これで、ミタコングが助かる……!」と思い、感動した視聴者も多いのではないだろうか。

 しかし、正直なところ、ミタコングは典型的な嫌味な教師だった。中学卒業から時間が経っているにしろ、人間性というものはそう簡単には変わらない。麻美が頑張って助けてあげたところで、自分が冤罪をかけられるなんて想像もしていない彼は、また嫌味を言ってくるかもしれない。それでも、麻美は必死にミタコングを救ってあげた。これは、決して見返りのない本気の人助けだ。かなりの徳を積んだといっても過言ではないだろう。

 しかも、おそらく麻美は徳を積むためではなく、ミタコングを助けるためだけに頑張った。本当は、大嫌いだったはずなのに。ゲームボーイアドバンスを没収されたこともあったのに。

 私も、麻美のように“やさしくなりたい”。明日からは、ちょっとずつでも徳を積んで生きていこう。そんなことを考えながら、ほっこりとした気分になった回だった。

■放送情報
日曜ドラマ『ブラッシュアップライフ』
日本テレビ系にて、毎週日曜22:30〜放送
出演:安藤サクラ、夏帆、木南晴夏、松坂桃李、染谷将太、黒木華、臼田あさ美、鈴木浩介、バカリズム
脚本:バカリズム
演出:水野格、狩山俊輔
プロデューサー:小田玲奈、榊原真由子、柴田裕基(AX-ON)、鈴木香織(AX-ON)
チーフプロデューサー:三上絵里子
企画協力:マセキ芸能社
制作協力:AX-ON
製作著作:日本テレビ
©︎日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/brushup-life/
公式Twitter:@brushuplife_ntv
公式Instagram:@brushuplife_ntv

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