『どうする家康』ムロツヨシはどう挑む? 竹中直人、佐々木蔵之介ら“秀吉俳優”を振り返る

大河ドラマ“秀吉俳優”を振り返る

 ちなみに、豊臣秀吉が大河ドラマに初めて登場した作品は3作目『太閤記』(1965年)で、大河ドラマで豊臣秀吉役を2回演じた俳優は2人いる。1人は、この『太閤記』で豊臣秀吉を演じ、『黄金の日日』(1978年)でも秀吉役だった緒形拳。緒形拳が豊臣秀吉を演じた2作品には、高橋幸治が同様に2作品とも織田信長を演じている。

 そして、2人目が竹中直人。タイトルもそのままズバリ『秀吉』(1996年)で、明るくバイタリティに富む秀吉パワーに圧倒されるだけでなく、「心配ご無用!」の決めゼリフも話題になった。次に秀吉を演じたのは『軍師官兵衛』(2014年)で、晩年の秀吉の心の深い闇にもスポットが当てられた。『秀吉』では主人公としてのサクセスストーリーの部分が中心に描かれたが、『軍師官兵衛』の秀吉は黒田官兵衛(岡田准一)の目線から描かれていることもあり、跡継ぎの秀頼が生まれてからの暴走、強引な手腕を冷静に描写する場面も目立っていた。

 戦国の世で波乱万丈な人生を生き抜いた人物だからこそ手強い敵もいるし、見方によってさまざまな解釈もできる。1987年に放送された大河ドラマ『独眼竜政宗』では、勝新太郎が威圧感たっぷりに豊臣秀吉を演じている。主人公の伊達政宗(渡辺謙)も相当プレッシャーを感じたようではあるが、勝新太郎のような目力が強く、堂々とした風格ある秀吉はかなり斬新な発想だ。ドラマの数だけ新しい秀吉と出会えるというのも、大河ドラマを観る醍醐味と言っていいかもしれない。

 人たらしで自分の欲望に素直で、エネルギッシュに出世していく秀吉をムロツヨシはどう演じてくれるのか。元康をとことん困らせるくらい、思う存分その魅力を発揮してくれることを期待したい。 

■放送情報
『どうする家康』
NHK総合にて、毎週日曜20:00~放送
BSプレミアム、BS4Kにて、毎週日曜18:00~放送
主演:松本潤
脚本:古沢良太
制作統括:磯智明
演出統括:加藤拓
音楽:稲本響
写真提供=NHK

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