『星降る夜に』吉高由里子が世間の“決めつけ”に問う 北村匠海の告白で距離は縮まるか

『星降る夜に』吉高由里子が決めつけに問う

 感情的なリアクションは、その人に寄り添いたい気持ちがわかりやすく見えるものだ。しかし、その状況をフラットに受け止めて、どんな選択肢があるのかを共に考え、何を手伝うことができるのかを提示してくれる冷静な対応のほうがうれしい場合もある。

 もしかしたら逃げ出してしまった匿名出産の彼女も、鈴の事務的な手続きや制度の説明だけなら聞く耳を持ってくれたかもしれない。そして赤ちゃんの幸せを考えた対応だけではなく、そのような状況になっている彼女の相談にも乗ることができたかもしれない。

 とはいえ、それも人によって価値観が分かれる部分。おそらく出産時の事故で妻を亡くした深夜は、かつて自分自身の心が追いつかなかったから、逆に自分よりも取り乱すくらい感情を爆発させてくれる人がいてほしかったのかもしれない。でも、これもあのシーンを見ただけの感想で、本当のところはわからない。「自分だったらこうしてほしい」という対応が、必ずしも相手にとっての正解ではない。だからこそ、私たちは常に対話が必要なのだ。

 でも、対話というものはなかなか難しいもので……。自分の意見を誤解なく伝えるというのは、同じ言語を使っていたとしてもスムーズにいくことではないのだと「かわいそう」の言葉ひとつでも痛感する。そのとき、ふと一星の親友・春(千葉雄大)が放った「一星は通じないことに慣れているからどんな国に行っても平気なんだ」という言葉を思い出した。

 手話と文字でのコミュニケーションを「通じないことに慣れている」というのは複雑なところだけれど、それだけまっすぐに伝える努力をしてきた一星の姿勢に胸を打たれる。さらに、その一星の存在が、鈴にも大いに影響を及ぼし始めているのを感じた。「私も(手話を)勉強してみようかな」と声を弾ませる鈴に「やれるもんならやってみな」とイジると、鈴も「感じ悪いんですけど!」と臆することなく感じたことをそのまま口にする。

 これまで努めて冷静に仕事をしてきた鈴が、そんなふうに解放される瞬間があってもいいのではないか。そうして無邪気に笑う鈴に、ますます惹かれていく一星。2人の距離は一星の「好きだ」という告白から一気に縮まっていくかのように思われた。

 だが、予告映像を見ると、2人の恋の間に深夜の想いも入ってきそうな予感も。さらに、一星が務める遺品整理会社『ポラリス』の社長・千明(水野美紀)が深夜の過去を知る仲だったのも気になるところだ。ここから彼らが持つ背景も紐解かれていくに違いない。それぞれが言葉を尽くして対話をし、世間や自分自身に縛られていた「決めつけ」や「しがらみ」から解き放たれ「めちゃめちゃハッピーに生きますように」と願うばかりだ。

■放送情報
『星降る夜に』
テレビ朝日系にて、毎週火曜21:00~21:54放送
出演:吉高由里子、北村匠海、ディーン・フジオカ、千葉雄大、猫背椿、長井短、中村里帆、吉柳咲良、駒木根葵汰、若林拓也、宮澤美保、ドロンズ石本、五十嵐由美子、寺澤英弥、光石研、水野美紀
脚本:大石静
監督:深川栄洋、山本大輔
ゼネラルプロデューサー:服部宣之
プロデューサー:貴島彩理、本郷達也
音楽:得田真裕
制作:テレビ朝日、MMJ
©︎テレビ朝日
公式サイト:https://www.tv-asahi.co.jp/hoshifuru_yoruni/
公式Twitter:@Hoshifuru_ex
公式Instagram:@hoshifuru_ex

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