『6秒間の軌跡』本田翼の真価が最大限に生かされたひかり 入出力の演技が光る高橋一生も

『6秒間の軌跡』本田翼の真価が最大限に発揮

「あなたのためだけの花火、打ち上げます」

 航(橋爪功)がチラシに書いたその一文が息子・星太郎(高橋一生)の“マンネリ”を解消した。

 幽霊になった航とそれに戸惑う星太郎、そして住み込みで働かせてほしいと望月煙火店の門戸を叩いた謎の女性・ひかり(本田翼)。『6秒間の軌跡~花火師・望月星太郎の憂鬱』(テレビ朝日系)第2話から、そんな3人の奇妙な生活が始まる。

 星太郎に自分のための花火を依頼しておいて、その出来についての感想は一切なく、ただ鼻で笑ったかと思えば、また星太郎の前に現れて「何でもするから」と半ば強引に自分をお店の従業員として雇わせる。ひかりという女性は、とにかく自由気ままで何を考えているかわからない。ただでさえ普段から人付き合いのない人間にとってはかなり難易度の高い相手だが、星太郎は押し切られてしまった。

 「めんどくせー」と文句を言いながらも、長らく掃除をしていないトイレを客人に使わせて忍びなく思ったり、航曰く抜群のプロポーションをお持ちのひかりが同じ屋根の下にいるだけで眠れなくなったりと、おそらく他人に気を使って疲れてしまうタイプの星太郎。対して、ひかりは13歳も年上の独身男性と同居することに何の抵抗も抱いていなさそうだ。

 正反対な二人が食卓を囲みながら交わすやりとりは、第1話冒頭における航と星太郎の会話を思い出させる。会話の内容は絶妙にズレているのに、息の合った台詞の応酬が相変わらず愉快。そして特筆すべきは、その中でひかりを演じる本田翼の真価が最大限生かされていることだ。

 2022年10月期ドラマ『君の花になる』(TBS系)に引き続き、2クール連続で連ドラ出演となった本田。同作では、売れないボーイズグループのメンバーが共同生活を送る寮の“寮母”になった元高校教師のヒロイン・あす花を演じた。そこにいるだけで周りをパッと照らせる。

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 愛されキャラのあす花は、たしかに気さくで明るい本田のパブリックイメージに合う。しかし、彼女の俳優としての力はむしろ、本人とは真逆のクールな女性の役でより生かされる気がするのだ。過去には、『ラジエーションハウス~放射線科の診断レポート~』(フジテレビ系)シリーズで演じた真面目でプライドの高い医者や、本格的なアクションでも注目を集めた『絶対零度~未然犯罪潜入捜査~』(フジテレビ系)での他人に心を閉ざした刑事役などが好評だった。

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