水谷豊が見せた右京の本気 『相棒』元日スペシャルは第2章の幕開けに

『相棒』元日スペシャルは第2章の幕開けに

 一方、右京は、金塊の出どころとなったプロジェクトを調べたり、内閣情報官の社美彌子(仲間由紀恵)に連絡をとったりと、様々なことを積極的に調べ、動いていた。やはり1年前の事件解決に執念を燃やしているようだ。金塊の窃盗の真実を解き明かした右京は、袴田を前に、「滅多に言いませんが、今日は特別に」と前置きした上で、「首を洗って待っていろ」と告げた。微笑を浮かべていた表情から一転、目を見開いて袴田に射るような目線を向けた右京には、袴田を絶対に捕まえるという強い意志が炎のように感じられた。静かに去っていく右京の後で、亀山は「汚れなきゃ出世できないのが政界の現実かもしれないけど、理想で現実に立ち向かってくれ」と茂斗に訴え、励ました。右京が、そう言って戻ってくる亀山を待っているところを見ると、茂斗のフォローは亀山がしてくれるとわかっていたのかもしれない。

 袴田家は、3代続く国会議員の家だった。袴田の父である2代目は、清廉を信条としていた。袴田はそんな父の姿を理想としていたが、出世しなかったために、袴田家の中で2代目の評価は低かった。清廉でありたかったのに、気がついたら出世と引き換えに悪徳政治家となってしまっていた袴田。いつでもどこか居心地が悪そうだったのは、自身の理想とギャップに苦しんでいたからなのだろう。亀山の茂斗へ向けた熱意あふれる言葉に感化されたのか、袴田は政界を引退する直前に亀山の警官としての再雇用を働きかけた。最後の最後に、自分にとって正しいことがしたかったのだ。

 右京の刑事としての本気を見せられた今回。亀山が警察官として復帰したことを含めて、刑事ドラマ『相棒』のギアが一段と上がった気がする。新年の幕開けとともに、『相棒 season21』の第2章が始まったのかもしれない。

■放送情報
『相棒 season21』
テレビ朝日系にて、毎週水曜21:00~21:54放送
出演:水谷豊、寺脇康文、森口瑤子、鈴木砂羽、川原和久、山中崇史、篠原ゆき子、山西惇、田中隆三、神保悟志、小野了、片桐竜次、杉本哲太、仲間由紀恵、石坂浩二ほか
エグゼクティブプロデューサー:桑田潔
チーフプロデューサー:佐藤凉一
プロデューサー:高野渉、西平敦郎、土田真通
脚本:輿水泰弘ほか
監督:橋本一ほか
音楽:池頼広
制作:テレビ朝日、東映
©テレビ朝日・東映
公式サイト:https://www.tv-asahi.co.jp/aibou/
公式Twitter:@AibouNow

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