「アバ体験!!」と叫ばずにいられない 『アバター:WoW』は劇場体験一点突破作品

『アバター:WoW』真に迫る映像体験

 「真に迫る」という言葉があるが、『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』は本当の意味で、「神秘の星パンドラ」という嘘を真なるものへと迫らせていた。だがここまで映像が未来的で凄いと、映画の枠組みが曖昧になるのだと実感した。映画のシナリオが面白くないことも手伝って『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』が映画でなくなる感覚はより加速した。また、ハイフレームレートという本来は映画に適していないはずの映像が、本作のドキュメンタリー性とマッチした瞬間、映画の形は完全に喪失する。この時点で気付く。これは映画ではない。体験なのだと。そして思い出す。ジャパンプレミアでの出来事。キャメロンは確かに言っていた。「アバ体験!!」と。そう、これは『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』の体験……「アバ体験」なのだ。

 個人的意見を言わせてもらうと、本当に面白い映画は『金曜ロードショー』(日本テレビ系)で観たとしても面白い。宇宙一面白い映画のひとつである『ダイ・ハード』(1988年)は金曜ロードショーで観たとしても宇宙一の面白さであると断言できる。だが『金曜ロードショー』で『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』を観たら、あまり心地よい体験にはならないだろう。そいう意味で本作は本当に面白い映画とは言えない。しかし、VODサービスが普及し新作映画をTVで観ることが当たり前になったこの時代。劇場体験一点突破の作品があってもいいのではないだろうか。

 そして最後にこれだけは言いたい。「キャメロンすまん」と。『アバター』を『金曜ロードショー』で観てすまんと。『アバター』をTVで観るのは体験ではない。だから自分は『アバター』を楽しめなかったのだ。そして『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』を観るか迷っている人は、どうか自分と同じ後悔をしないでほしい。IMAX(もしくはドルビーシネマ)3Dハイフレームレート版で観賞してほしい。少なくとも、睡眠不足の人間を3時間スクリーンに釘付けにするほどの衝撃と感動を味わえるはずだ。そして思わずこう叫んでしまうだろう。「アバ体験!!」と。

■公開情報
『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』
全国公開中
監督:ジェームズ・キャメロン
出演:サム・ワーシントン、ゾーイ・サルダナ、シガニー・ウィーバーほか
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
©︎2022 20th Century Studios. All Rights Reserved.

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