『城塚翡翠』は役者のためのドラマ? 清原果耶の“20代の代表作”に続編を期待

清原果耶主演『城塚翡翠』続編への期待

 ミステリードラマ『invert 城塚翡翠 倒叙集』(日本テレビ系、以下『城塚翡翠』)が最終回を迎える。本作は、相沢沙呼の小説『城塚翡翠』シリーズ(講談社)を映像化したドラマ。脚本、脚本協力として相沢も参加している。

 物語は毎話冒頭で犯行現場が描かれ、事件の犯人が提示される。その後、探偵の城塚翡翠(清原果耶)が犯人に接触。様々な質問を浴びせて心を揺さぶり、最終的にアリバイを崩し自供に追い込む姿が描かれる。

 タイトルからもわかるように、本作は、犯人の正体を最初に提示する「倒叙ミステリー」となっている。テレビドラマでは、海外ドラマの『刑事コロンボ』、国内では『刑事コロンボ』の影響で作られた三谷幸喜脚本の『古畑任三郎』シリーズ(フジテレビ系)が倒叙ミステリーの代表作として知られているが、犯人を追いつめる直前に視聴者に翡翠が語りかける演出を筆頭に、『城塚翡翠』には『古畑任三郎』に対するオマージュが込められている。

 映像作品としての倒叙ミステリーの魅力は、俳優と俳優の演技対決を描けることにある。その結果、舞台劇のような緊張感が映像に生まれる。伊藤淳史、星野真里、福崎那由他、そして最終2話では杉本哲太がゲスト出演しているのだが、どの役者も好演しており、追い詰められた人間が抱えた切羽詰まった心理をさらけ出している。

 何より素晴らしい演技を披露しているのが、翡翠を演じる主演の清原果耶と、翡翠のパートナーとして一緒に事件を調べる千和崎真を演じる小芝風花だ。雇われの身でありながら翡翠に対して言いたいことをズバズバと言う真と、そんな彼女に友情を感じている翡翠の掛け合いは、バディものドラマとしても微笑ましく映る。

invert 城塚翡翠 倒叙集

 連続テレビ小説『おかえりモネ』(NHK総合)などの作品で若手実力派女優として高く評価されてきた清原は、どこか影のある寡黙で内省的な少女を演じる機会がこれまで多かった。一方、城塚翡翠は頭のキレる毒舌の名探偵という真逆のキャラクターである。しかも、自分がかわいい美少女で育ちの良いお嬢様だと周りから思われていることに自覚的で、自分のような女を好む男に対しては、かわいいドジっ子のお嬢様として振る舞うことで、相手の懐に入り込む。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「国内ドラマシーン分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる