『舞いあがれ!』第12週は「作品全体の中でも大事なポイント」 桑原亮子脚本をCPが語る
『舞いあがれ!』(NHK総合)の脚本が、第12週「翼を休める島」より再び桑原亮子に戻っている。
『舞いあがれ!』は、連続テレビ小説初挑戦となる桑原によるオリジナル作品。“子舞“こと浅田芭路が舞の幼少期を演じた「幼少期編」、福原遥を主演に舞が人力飛行機サークルに入部する大学生活をメインに描いた「人力飛行機編」、幼なじみの久留美(山下美月)と貴司(赤楚衛二)とともに舞が再び五島を訪れる第7週までの脚本を桑原が担当。第8週の「航空学校編」からは第9週までを嶋田うれ葉、第10週と第11週には佃良太の名前が脚本にクレジットされている。
舞と柏木(目黒蓮)のラブロマンスが描かれたりと作風の変化も見られた航空学校編。脚本のバトンタッチについては、嶋田と佃が実際にエアライン・パイロット養成機関である航空大学校に取材を行ったということが理由の大部分にある。共に取材に赴いた制作統括の熊野律時は、柏木や舞の教官を務める大河内(吉川晃司)といった主要人物の登場、大まかな物語の流れは桑原が考えているが、細かい具体的なエピソードは演出陣を含めたスタッフで相談をしながら、嶋田と佃の2人が取材をもとに執筆をしていると説明する。大河内が舞や柏木たち生徒に問いかけるパイロットに求められるもの、「プロシージャー」や「フェイル」といった普段は聞き慣れない専門用語が飛び交うシーンを、視聴者が理解できるところまで噛み砕いた演出・脚本となっているのは、「ものすごく大変だった」という航空大学校での取材が存分に活かされた成果と言えるだろう。
『舞いあがれ!』なにわバードマン編と航空学校編の異なるアプローチ 恋愛描写を考える
“朝ドラ”ことNHK連続テレビ小説『舞いあがれ!』の第9週「私らはチームや」はいよいよ舞(福原遥)が帯広校でフライト課程に進んだ…
リーマンショックの影響から就職先であるハカタエアラインへの入社が1年延期となってしまった舞は、“ばんば”こと祥子(高畑淳子)が住む五島へと向かう。熊野は第12週「翼を休める島」について、「作品全体の中でも大事なポイントになってくると捉えています」と語る。
「第12週では、航空学校編というある種の非日常的な世界から、特別なことは何も起こらない日常の中に戻った舞の、五島の人たちとの細やかな言葉のやり取りだったり交流という、桑原さんが得意とする部分が描かれています。貴司のことだったり、五島で新しく出会う朝陽(又野暁仁)くんという少年のこと、ばんばと過ごす日々の中で舞自身もまたゆっくり立ち止まって考える週になっています」
朝陽は都会の学校でクラスに馴染めなかった少年。物語全体が折り返しを迎える中で、生きづらさを抱えている人に寄り添う、気持ちを掬い上げる舞というキャラクターの根本にある部分、『舞いあがれ!』が掲げている大きなテーマをもう一度描いていく週でもある。
■放送情報
NHK連続テレビ小説『舞いあがれ!』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
出演:福原遥、横山裕、高橋克典、永作博美、赤楚衛二、山下美月、目黒蓮、長濱ねる、高杉真宙、山口智充、くわばたりえ、又吉直樹、吉谷彩子、鈴木浩介、高畑淳子ほか
作:桑原亮子、嶋田うれ葉、佃良太
音楽:富貴晴美
主題歌:back number 「アイラブユー」
制作統括:熊野律時、管原浩
プロデューサー:上杉忠嗣
演出:田中正、野田雄介、小谷高義、松木健祐ほか
主なロケ予定地:東大阪市、長崎県五島市、新上五島町ほか
写真提供=NHK