『PICU』吉沢亮が体現した志子田の内なる成長 植野から学んだ希望が足元を照らす

『PICU』吉沢亮が体現した志子田の成長

 さらに志子田は、ドクタージェットを丘珠空港に常駐させるために必要になる近隣病院との連携のために自身がPICUの科長の職を退き、札幌共立大から科長を招くと切り出した植野(安田顕)に“くだらない事情”と一蹴し「それを先生がやることはできないんですか? もう少し先生の下でやらせてください」と食い下がる。科長として周囲を鼓舞し、どんな状況でも落ち着いて処理し、時に苦しい選択を矢面に立ってしなければならないことも多いだろう植野は、いつの間にか“できたこと“よりも“できていない、自分の力が及ばなかったこと”にばかりどうしても目が向くようになってしまっていたのかもしれない。そんな植野に志子田は「何もできなかったとしても最後まで何かすべきだということを先生から学んだ気がします」と言って“こっちですよ”と道を指さした。理想だけでは立ち行かない厳しく過酷な環境下で、“正解”なんて存在し得ない世界だからこそ、現実と理想を行ったり来たりしながら、子どもの生きようとする力を信じ続け、勝手に諦めてしまわぬこと。そして“チーム医療”を念頭に自分一人だけでそれを乗り越えようと抱え込みすぎてしまわぬこと。PICUで志子田がまさに植野から学んだ希望で足元を照らしながら。

 大どんでん返しの“奇跡”頼みではなく、命にただただ愚直に向き合い続け話し合いを重ねるPICUの彼らの姿に、絶大なる信頼感とそこはかとない人間味を感じ続けながら、彼らが自力で手繰り寄せた丘珠病院のPICU存続とこれからの可能性を見守ることができたことに、ただただ感謝したい。

■配信情報
『PICU 小児集中治療室』
FODにて配信中
出演:吉沢亮、木村文乃、安田顕、生田絵梨花、高杉真宙、菅野莉央、甲本雅裕、中尾明慶、高梨臨、菊地凛子、正名僕蔵、松尾諭、大竹しのぶほか
脚本:倉光泰子
演出:平野眞
プロデュース:金城綾香
医療監修:浮山越史(杏林大学病院)、渡邉佳子(杏林大学病院)
主題歌:中島みゆき「俱に」(ヤマハミュージックコミュニケーションズ)
音楽:眞鍋昭大
©︎フジテレビ
公式サイト:https://www.fujitv.co.jp/PICU/
公式Twitter:@PICU_cx
公式Instagram:@picu_cx

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「国内ドラマシーン分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる