『城塚翡翠』清原果耶のスタイリングの美しさ シリーズの世界観を彩る美術にも必見

『城塚翡翠』世界観を彩る美術に必見

 そこで面白いのが、共演者とのバランスだろう。翡翠がこれだけデコラティブにもかかわらず、真(小芝風花)は出演シーンの多くがTシャツなどカジュアルな格好。さらに翡翠からもそのTシャツのセンスについてたびたび突っ込まれている。ヴィジュアルの見せ方で特定のキャラクターを突出させることで、バディとなるキャラクターとの対比をも描いているが、それでいて、この作品は絶妙なバランスを保っており翡翠の存在が浮きすぎてはいないのだ。それというのも真はTシャツ姿でありながらも原色をうまく使用しており、決して地味すぎる印象は抱かせない。同じく鐘場(及川光博)のスーツ姿も、単調な白と黒などではなく艶感のあるネイビーにグレーのシャツと気が利いている。

 また、翡翠の暮らす部屋には“翠色の瞳”を彷彿とさせるように観葉植物がたくさん置かれており、サンルームの中央にはどっしりと構えるブルーグリーンのソファが目に入る。大きな窓からは燦々と陽が注ぎ、まるで翡翠の瞳が光るかのように部屋全体が美しく輝いている。こうした細部の作り込みは世界観を演出すると同時に、翡翠の衣装を浮くことなく活きさせているだろう。ここまで徹底したビジュアル作りをしたスタッフと、それに応えるキャスト陣の熱演に胸が熱くなる思いだ。

 『invert 城塚翡翠 倒叙集』の優美な世界に浸れる時間も限られている中、この美しい世界を今のうちにしっかり目に焼き付けておきたい。

■放送情報
『invert 城塚翡翠 倒叙集』
日本テレビ系にて、毎週日曜22:30~放送
出演:清原果耶、小芝風花、田中道子、須賀健太、及川光博
原作:相沢沙呼『invert 城塚翡翠倒叙集』『invert II 覗き窓の死角』(講談社)
脚本:佐藤友治
脚本協力:相沢沙呼
演出:南雲聖一、菅原伸太郎、伊藤彰記
チーフプロデューサー:田中宏史、石尾純
統轄プロデューサー:荻野哲弘
プロデューサー:古林茉莉、柳内久仁子(AX-ON)
協力プロデューサー:藤村直人
音楽:Justin Frieden
主題歌:「妖」福山雅治(アミューズ/ユニバーサルJ)
制作協力:AX-ON
製作著作:日本テレビ
©︎日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/hisui/

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる