小芝風花の魅力は永遠に尽きることがない 『城塚翡翠』シリーズでも際立つ多彩な演技

『城塚翡翠』で際立つ小芝風花の多彩な演技

 衝撃、驚愕、圧倒、感心……頭に浮かんだ言葉を並べてみたが、この感情はどれにも当てはまって、どれにも当てはまらない。

 我々は『霊媒探偵・城塚翡翠』(日本テレビ系)が仕掛けた“トリック”に見事やられてしまった。本作が最終回を迎えたかと思ったら、犯人たちの視点から描かれる新ドラマ『invert 城塚翡翠 倒叙集』にバトンタッチしたのだ。ラストの伏線回収を含め、その見事な演出、あまりにも気持ちの良い裏切りに「これだからドラマはやめられない!」と思った人も多いことだろう。

 さて、事件そのもの、物語そのもの、に注目が集まりがちな本作だが、主役の城塚翡翠(清原果耶)とアシスタントの千和崎真(小芝風花)のやりとりも見どころのひとつ。眉間に皺を寄せて集中してしまう事件編の合間に、2人の砕けた会話が楽しい日常編は、顔がニンマリとしてしまう。11月20日に放送された『invert 城塚翡翠 倒叙集』第1話でも、翡翠がペットボトルの炭酸をわざとあふれ出るように仕掛け、千和崎の服をびしょびしょに……。苛立った千和崎が翡翠の頭にツッコミを入れるシーンなんて、“それ”の最たるものだ。このギャップがたまらない!

『invert 城塚翡翠 倒叙集』小芝風花が大変貌 『古畑任三郎』を彷彿とさせる清原果耶の姿も

すべてが、反転––––––。  『霊媒探偵・城塚翡翠』(日本テレビ系)が衝撃の“最終話”を迎えてから、1週間。タイトル&ビジュ…

 清原果耶やほかの演者はもちろんだが、小芝風花の快活な演技も本作の魅力を引き立てているように思う。翡翠のいたずらっ子っぷりに対して、小芝の“受け”の演技が光り、安心感すら覚えるーー。

 我々がなぜそんな彼女の演技に魅了されるのか、小芝の近年の出演作を振り返って、その理由に気づいた。

 『美食探偵 明智五郎』(2020年/日本テレビ系)では、超変わり者の私立探偵・明智五郎(中村倫也)にこき使われる小林苺が非常にキュートだったし、のちに映画化された『妖怪シェアハウス』(2020年、2022年/テレビ朝日系)シリーズでは、妖怪とひとつ屋根の下で暮らし、翻弄されていく目黒澪がユニークだった。Sexy Zone・中島健人とのダブル主演で話題となった『彼女はキレイだった』(2021年/カンテレ・フジテレビ系)も忘れられない。小芝は、初恋相手だと打ち明けられない“ムカつく”上司・長谷部宗介(中島健人)に振り回されながらも、恋に落ちていく佐藤愛を熱演。桐山梨沙(佐久間由衣)、樋口拓也(赤楚衛二)らをも巻き込んだ恋路は、SNSで「かのキレ」現象を巻き起こした。

 彼女が演じてきた役を見ていると、「明るい」「まっすぐ」「守りたくなる愛らしさ」など、共通しているものが多いように思う。振り回されて、狼狽している小芝の姿は、応援したくなるし、感情移入もしてしまう……。

 そう考えると、演じてきたキャラクターは似通っているようでどれも違って、それぞれの個性が垣間見えるのも小芝の強みではないか。たとえば、「明るい」という人物の引き出しの中は、たくさん小分けされていて、それを作品によって使い分けている印象があるのだ。ラブストーリーだって、コメディだって、ミステリーだって、視聴者が物語に入り込めるように、小芝の演技が案内人の役目を担ってくれている。だから我々は彼女に魅了されるのだろう。

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