『相棒』“イタミン”にもどうか幸せを 川原和久の男前過ぎる哀愁漂う表情と後ろ姿

『相棒』“イタミン”にもどうか幸せを

 右京(水谷豊)と亀山(寺脇康文)からなる特命係を煙たがり、ことあるごとに大きな声で何かと嫌味を言ってくる伊丹(川原和久)は、いつもドラマを賑やかにしてくれる存在だった。だが12月7日の放送の『相棒 season21』(テレビ朝日系)第8話では、その伊丹がほとんど喋らない。物思いにふけり、どこか哀愁漂う表情と寂しそうな背中を見せる“イタミン”は、いつもより何倍も男前に見えた。

 投資会社勤務の大久保(イワゴウサトシ)という男性が自宅で殺害され、篠塚(檜尾健太)というチンピラが容疑者として浮上した。伊丹が率いる「トリオ・ザ・捜一」の面々は篠塚の行方を追跡する。そこで篠塚の立ち寄り先として目星を付けていたアパートを訪問し、そこにいた篠塚の妻・由香子(霧島れいか)を見た途端、伊丹が思わぬ行動に。なんと強引に室内に押し入り、勝手に家宅捜索を始めてしまったのだ。由香子は伊丹が常連になっている弁当店に勤めており、伊丹は彼女に思いを寄せていたよう。伊丹の行動にさまざまな憶測が飛び交う中、当の本人はなぜそんな行動をしてたのかを説明せず、完全黙秘を貫いていた。

 伊丹は不器用で口下手である。ちょっと気になる人ができても、簡単に食事やデートに誘えたりはしないだろう。そんなことができたら、亀山にいつも憎まれ口を叩くことなどしないはずだ。だから由香子のことが気になると言っても、弁当屋で働いている彼女を見守ったり、一言二言の言葉を交わすだけで満足したりしているのだと思っていたのだが、全く違った。伊丹は、由香子の休憩中に話すだけではなく、彼女とその息子・祐(佐藤遙灯)と3人で恐竜展に出かけていた。完全なるデートである。しかも子供嫌いなはずの伊丹が、一生懸命話す祐を優しい顔で見ている。恋には大きな力があるものだ。伊丹は本気で由香子に惚れていたのだ。その思いが、伊丹の一挙一動から感じられる。

 では、なぜ、そんな由香子の家に強引に押し入ってしまったのだろう。結果として彼女の夫である篠塚は大久保が殺害された事件とは関係がなかった。だが、それ以前に、伊丹は彼女がある事件に関わっていることに気がついてしまっていたのだ。伊丹が由香子の家に行ったのはある意味、偶然だが、別件とはいえ事件に関わりがあることがわかると由香子も詳しく調べられてしまう。“隠していることがあるなら、発覚前に言ってほしい”。伊丹の行動の裏にはそんなメッセージが隠されていたのだ。

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