『相棒』シリーズは初見でも楽しめる? 特命係を取り巻く個性的なキャラクターを紹介

今からでも楽しめる『相棒』シリーズ

 いよいよ10月12日から放送がスタートする水谷豊主演ドラマ『相棒 season21』(テレビ朝日系)。新シーズンは、初代相棒である寺脇康文演じる亀山薫が、“初代相棒”改め“5代目相棒”として登場することが話題となっている。初回放送を前に、これまでの『相棒』を簡単にまとめてみたい。

 『相棒』は、2000年に『相棒 ~警視庁ふたりだけの特命係~』という単発の2時間ドラマとして誕生。2002年から連続ドラマ化され、20年以上続いてる人気シリーズだ。基本は10月から翌年3月に終わる年越しの2クール構成で、再放送が多いことから登場人物たちに自然と親しみが湧く人も多い。

 多くの脚本家が参加しているオリジナル作品で、ミステリー要素を取り入れながら、企業・政治の腐敗、死刑制度、ウイルステロ、裁判員制度、劇場型犯罪など数多くの時事問題を取り入れ、season11の第18話「BIRTHDAY」 のように少女の幽霊(?)が登場するファンタジー要素もあったりとストーリーは多種多様。刑事ものとして犯罪する側にも情や理由があることをしっかりと描き、単にご都合主義・勧善懲悪に収まらない内容なのが『相棒』の面白いところだ。

 水谷豊演じる杉下右京は、頭脳明晰で推理力は抜群、常に紳士な振る舞いだがコミュニケーションに難があり、事件に関しては決して信念を曲げない変わり者。切れ者すぎて上から疎まれ、人材の墓場と呼ばれる警視庁の「特命係」に追いやられている。建前上は特命係だが、実際には雑用を任されることがほとんどで、組織の中でどこの部署にも所属していないことから捜査権がない。

 元・捜査一課の亀山薫(season1〜7)は、指名手配犯を捕まえようとして逆に人質にされ、この失態が上層部から咎められ特命係に左遷、初代相棒になった。曲がったことが大嫌いな熱血漢で人情派でもある亀山と右京は、捜査方針も趣味も性格も違い相性は最悪。ただ、いくつもの事件を解決していくうちに、お互い足りないものを補っていく関係になり、「君がいつもそばにいてくれて助かります」と右京が言うほどお互い絆を深め合っていく。右京と亀山の別れは、2008年のseason7で、腐敗が蔓延している南アジアの小国・サルウィンでボランティア活動していた友人が殺害され、右京と亀山は真相を究明。亀山はサルウィンの子供たちに正義の精神を教えたいと、妻・美和子(鈴木砂羽)と一緒にサルウィンへ旅立つ。

 2代目相棒の神戸尊(及川光博/season7〜10)は、当初は特命係及び右京を調査するために警察庁から派遣されてきたスパイだった。3代目相棒の甲斐享(成宮寛貴/season11〜13)は、当時警察庁次長だった甲斐峯秋(石坂浩二)の息子だが、反発心から頼ることなく自力で警察に入り、偶然香港で出会った右京に所轄署から引き抜かれる形で特命係へ。しかし、親友の妹が殺された事件を機に、法で裁けない人間を影で制裁する「ダークナイト」としての活動をはじめ、その事実を右京に突き止められて逮捕。特命係を去ると同時に警視庁を懲戒免職となる。

 4代目相棒の冠城亘(反町隆史/season14〜20)は、警視庁に人事交流で出向していた法務省のキャリア官僚だったが、右京と出会い、ある事件を機に法務省を退官し、警察官に転身して自ら志願して特命係へ。

 事件を通じて、変わり者の右京がいかに相棒たちに心を許し、たまに感情的になって正義感や怒りをあらわにしたり、人間らしさを垣間見せていくのかが本作の一つの見どころといえる。ただ、最近はどこか丸くなっている印象も。今回14年ぶりに復帰する亀山と右京は本音で言い争える仲だけに、右京の覇気が戻ってきそうで楽しみだ。また、伊丹憲一(川原和久)や鑑識課(現在は警察学校教官)の米沢守(六角精児)、組織犯罪対策第五課課長の角田六郎(山西惇)など、サブキャラたちを渋い俳優が演じ、どんどんキャラに愛着が出てくるところも本作の魅力。

 特に伊丹は、亀山と同期のライバルで、常に特命係には嫌味な対応を見せるが、実は正義感が強く、右京を認めるツンデレ刑事。右京と同様に亀山がいなくなってから張り合いがなさそうだっただけに、腐れ縁のライバルが帰ってきたことで、右京と亀山の14年間の空白を伊丹の嫌味が一気に縮め、2人をサポートをしていく展開になるのではないかと考える。おなじみの「特命係の亀山~!」が「サルウィンの亀山~!」になるのか、その第一声にも注目したい。

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