吉川晃司、『下町ロケット』から『舞いあがれ!』へ 鬼教官の秘めた人生哲学に注目

吉川晃司、『舞いあがれ!』で体現する哲学

 『舞いあがれ!』(NHK総合)第40話の最後に登場した、航空学校・帯広校の教官・大河内守。“サンダー大河内”と呼ばれ、学生から恐れられる鬼教官を演じるのは、ミュージシャンで俳優の吉川晃司だ。

 朝ドラ初出演の吉川は、「威圧感があるため“朝の顔”としては不向きだと思っていた」と語るが、パイロットを目指す学生たちの前に立ちはだかる、妖怪の“ぬりかべ”のような存在を担ってほしいと依頼され、出演オファーを受けたという(※)。航空自衛隊の戦闘機パイロット出身の教官として、舞(福原遥)たちを指導することになる大河内。容赦なく学生を退学させると言われているが、吉川は「大河内なりの哲学に注目してほしい」と語っている。

 吉川は、1984年に映画『すかんぴんウォーク』と、その主題歌「モニカ」でデビュー。ミュージシャンと俳優業を同時にスタートさせた。日本歌謡大賞最優秀新人賞をはじめとする新人賞を総なめにし、俳優としてもブルーリボン賞、日本アカデミー賞、ゴールデンアロー賞などの新人賞を受賞。瞬く間にスターの座に上り詰めた。筆者がよく覚えているのは、中学・高校時代、水球の選手だった吉川が、デビュー当時、歌番組『ザ・ベストテン』(TBS系)でのパフォーマンスの際、水球のプレーを披露したことだ。

 その後も「LA VIE EN ROSE」「You Gotta Chance」などヒット曲を連発し、1988年にはギタリスト・布袋寅泰とのユニット・COMPLEXを結成。ソロアーティストとしての活動も続ける吉川は、どちらかと言うと、俳優よりミュージシャンのイメージの方が強かったが、2000年代以降は『レディ・ジョーカー』『チーム・バチスタの栄光』『るろうに剣心』など数々の映画で演技力を発揮。『必死剣 鳥刺し』では、第34回日本アカデミー賞優秀助演男優賞を受賞した。

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