『アトムの童』新生アトムの逆襲が始まる 敗北を知った那由他と隼人の成長

『アトムの童』新生アトムの逆襲が始まる

 青天の霹靂のような銀行の差し押さえによって、アトム玩具はSAGASに買収された。それから1年が経ち、『アトムの童』(TBS系)第6話では、第1話に戻ったかのような既視感のある光景が繰り広げられた。

アトムの童

 海(岸井ゆきの)は銀行の窓口にいた。相談に訪れた顧客に「総合的な判断」で融資はできないと伝える。契約社員の海は「今の自分だからこそ見えるものもある」と語る。売りに出されているアトム玩具の工場を訪れた海は何かを考えているようだ。那由他(山﨑賢人)は自動車整備工のかたわら、学童で子どもたちの世話をしていた。隼人(松下洸平)は、自動車メーカーに勤務。AIを使った自動運転技術に手腕を発揮していたが、ゲーム業界への復帰には二の足を踏んでいた。

 アトム玩具を手中に収めたSAGAS興津(オダギリジョー)は、那由他たちが作った『アトムワールド』を大ヒットさせ、国のクールジャパンコンテンツ推進会議にメンバーとして加わるなど、その勢いは増す一方。バラバラになったアトム玩具と対照的な隆盛ぶりを示していた。

アトムの童

 何もかも奪われ、それでも立ち上がるためには、何をすればいいのだろう。海はアトム玩具の買収は自分のせいだと思って責任を感じていたが、那由他と隼人は必ずしもそう思っていなかった。アトム玩具は企業同士の駆け引きには敗れたが、ゲーム開発で負けたわけではない。その証拠に『アトムワールド』は世界中にファンがいる。また、那由他と隼人はゲームを嫌いになっていない。那由他の作ったゲームは子どもたちに人気で、ゲーム制作への情熱を失っていないし、隼人が『ダウンウェル』をプレイするのは過去を受け入れているからだろう。海だって、憂さ晴らしにゲームに熱中するのは以前と同じだ。どんな時もゲームは近くで迎え入れてくれるが、那由他たちが現実の世界で再起動するにはこれまでと違う何かが必要だった。

アトムの童

 その答えは子どもたちが教えてくれた。学童に残っていた小学生の翔太(岩川晴)を送る途中、交差点で駆け出した翔太を押し止めながら、那由他は事故に遭わず帰宅するためのゲームを思いつく。隼人が作ったデザインを修正し、改良を重ねたゲームは評判になる。那由他たちが作ったのはいわゆる「シリアスゲーム」で、娯楽にとどまらず教育・啓発の効果を持ち、広く社会課題の解決を目的とするものだ。

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