『アトムの童』これまでの日曜劇場との違いは? ゲーム的マインドがもたらすメッセージ

『アトムの童』過去の日曜劇場との違いは?

 ゲーム制作における最悪の事態は何だろうか? 資金の枯渇、開発者の急病、データ流出、著作権侵害、市場とのミスマッチ、などさまざま考えられる中で、シンプルかつダメージが大きいのが開発データの消失である。『アトムの童』(TBS系)第4話では、開発中のグラフィックデータが消えるアクシデントが発生。バージョン管理ツールに残されたデータから復元しても最短で1カ月かかる。10日後には投資家にデモを見せるため、このままでは間に合わない。那由他(山﨑賢人)たちは作業を外注することに決める。

アトムの童

 誰がデータを消去したのか? 第4話では疑惑の主に注目が集まったが、財務顧問の鵜飼(林泰文)が怪しいことは早い段階で示唆されており、若干の肩透かし感があった。鵜飼は、SAGAS興津(オダギリジョー)の意を受けたやよい銀行の小山田支店長(皆川猿時)の命令で動いており、結論から言うと大方の予想どおりだったわけだが、犯人探しに主眼が置かれていないなら、第4話では何を伝えたかったかが問題になる。

 アトム玩具の再建に乗り出した海(岸井ゆきの)にスカウトされて、ゲーム制作に携わることになった“ジョン・ドゥ”那由他は、相棒だった隼人(松下洸平)を引き入れて新作ゲームの開発に着手する。しかし、過去に自分たちのゲームを横取りした宿敵・興津が行く手を阻む。興津は小山田を使って融資額5千万の返済を迫り、追い詰められた那由他たちは直接、投資家に資金援助を求める。紆余曲折あって、インターネットカフェの常連で投資会社社長のラマチャンドラン(KOUROSH AMINI INGO)と交渉に臨もうとした矢先のデータ消失だった。

アトムの童

 期限に間に合わせるため妥協する那由他に隼人は失望し、売り言葉に買い言葉で2人の間に亀裂が入る。専務の八重樫(でんでん)も鵜飼を疑って、社内に一触即発の空気が流れる。物事がうまく行っている時は良いが、歯車がかみ合わなくなると途端にぎくしゃくするのが小規模な組織の難しいところだ。危機的状況を救ったのは社長の海だった。思い悩む海に、父の繁雄(風間杜夫)は「信頼は一つ一つ相手と向き合って作るもの。きちんとぶつかってこい」と諭す。海のとりなしもあって鵜飼はアトムにとどまり、那由他と隼人はひょんなことから自分たちのやり方を取り戻した。

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