『舞いあがれ!』『ひよっこ』松尾諭の安心感 『拾われた男』から“朝ドラの常連”へ
『舞いあがれ!』(NHK総合)で、ヒロイン・舞(福原遥)の幼なじみ、望月久留美(山下美月)の父親・佳晴を演じている松尾諭。妻に出ていかれ、仕事に就いてもすぐに辞めてしまうという、娘に苦労をかけてばかりのダメな父親役で視聴者の注目を集めている松尾は、『てっぱん』『ひよっこ』『わろてんか』『エール』と、朝ドラの“常連”として知られている。
久留美がなぜ父子家庭で育ったのかは、少しずつ明かされてきた。久留美の母親は死別ではなく、久留美と佳晴のもとを去り、年に一度、娘の誕生日にバースデーカードを送ってきていたことが、第6週で描かれた。佳晴はかつて実業団のラグビー選手で、「ドーベルマン望月」と呼ばれて活躍したが、ケガを機に失業。妻に愛想を尽かされ離婚し、久留美と2人で暮らしている。
久留美はアルバイトをしながら、必死に勉強して奨学金を得て看護専門学校に通っているが、佳晴は職を転々とするばかりで、久留美を不安にさせている。そんなダメな父親だが、松尾の好演によって、佳晴なりに娘に愛情を注いでいることが伝わってくる。
2022年6月から放送・配信された仲野太賀主演のドラマ『拾われた男』は、松尾の人生の実話に基づくヒューマンコメディで、彼が芸能プロダクションの社長が落とした航空券を拾ったことから俳優への道を歩み始める物語だ。劇中でも描かれているが、松尾は事務所の先輩である井川遥の運転手兼ボディガードをしながら、俳優のオーディションを受け続け、端役として映画やドラマに出演。注目されたのは、ようやく役名が付いた2005年のドラマ『電車男』で、“ザスパ”というサッカーオタクを演じた。
転機となったのは、2007年のドラマ『SP 警視庁警備部警護課第四係』(フジテレビ系)。主要SP役5人の中の1人、山本巡査部長役に大抜擢された。ここからは、現在に至るまで出演作が途切れることがないくらい、誰もが一度は見たことがある売れっ子俳優として活躍している。