『舞いあがれ!』刈谷×玉本×鶴田、3人の人間性を見せる秀逸な脚本 バードマンの絆が尊い
舞も、刈谷がパイロットを変えることに反対する理由も十分理解している。安全な飛行機を作るとしたら、丸一年は必要だ。それを一カ月で修理と並行して進めることは非現実的なのである。しかも、舞に合わせるために設計を変更しようとしていることを知った刈谷は怒り心頭で「なにわバードマン」に乗り込んだ。そこで、玉本は玉本なりに刈谷だけに頼らないように自分も設計を勉強してきたことを明かし、刈谷も素直に「すまん」と謝る。そこで鶴田は理論上では自分たちの設計でも飛べるが、実際に飛ばせて確実に記録を狙うために刈谷の設計でなければいけないと、彼を再び“連れ戻す”。その正直なやりとりに、彼らの絆の深さを実感させられた。
再び部員が一丸となり、作業場には笑顔が戻った。しかし、安心したのも束の間、舞は刈谷にパイロットとして認められると同時に記録飛行まで五キロの体重を落としながら体力をつけることを求められた。父・浩太(高橋克典)が人工衛星を手がける工場の見学に行った日の帰り、自分のレベルと彼らの“求められる”レベルの違いに愕然としていたことが思い起こされる。それでも、浩太は「すごかった」と噛み締めながらも諦めない。
「うちも負けへんで、一歩ずつ登っていったらいつかは山の頂上に辿り着く」
父の金言に「そうやんな、一歩ずつ進んでいけばいいやんよな」と笑った舞。これから彼女を待ち受ける過酷なトレニーングで、挫折しそうになった時に彼の言葉を思い出してほしい。
■放送情報
NHK連続テレビ小説『舞いあがれ!』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
出演:福原遥、横山裕、高橋克典、永作博美、赤楚衛二、山下美月、目黒蓮、長濱ねる、高杉真宙、山口智充、くわばたりえ、又吉直樹、吉谷彩子、鈴木浩介、高畑淳子ほか
作:桑原亮子、嶋田うれ葉、佃良太
音楽:富貴晴美
主題歌:back number 「アイラブユー」
制作統括:熊野律時、管原浩
プロデューサー:上杉忠嗣
演出:田中正、野田雄介、小谷高義、松木健祐ほか
主なロケ予定地:東大阪市、長崎県五島市、新上五島町ほか
写真提供=NHK