『20世紀のキミ』に漂う90年代の懐かしさ 『青春MT』で話題のキム・ユジョンの輝き

『20世紀のキミ』に漂う90年代の懐かしさ

 過去に置いてきた学生時代の青春。漫画みたいな、と言わないまでも、友人と訳もなく過ごした放課後や、図書館で本を読みふけった日々、好きな人を追いかけた甘酸っぱい思い出があるのではないだろうか。そんな自分の記憶の中にある美しい青春を、思い出さずにはいられない作品が配信開始した。

 Netflixオリジナルの韓国映画『20世紀のキミ』。1999年を生きる韓国の高校生たちの青春を描いている。ボラ(キム・ユジョン)は、心臓治療のためアメリカへ手術に行く親友のヨンドゥ(ノ・ユンソ)が一目惚れをした、ペク・ヒョンジン(パク・ジョンウ)という同じ高校の男の子について、ヨンドゥが帰国するまで代わりに調べることになった。飲んだ飲み物や、電話番号を調べて回るなど、少しやりすぎでは? というところまで、細かく彼のことを調べては報告する。

 それに気づいたヒョンジンの親友ウノ(ピョン・ウソク)は、ヒョンジンの情報を提供しながらボラとの距離を縮めていくのだった。一方で、「ヨンドゥのためにヒョンジンを守らないと」と彼を助けたことで、ヒョンジンから好意を向けられ、奇妙な三角関係が出来上がっていく。

 主人公のボラを演じるのは、『雲が描いた月明かり』や『コンビニのセッピョル』のキム・ユジョン。パク・ボゴムやパク・ソジュンなどが出演している俳優たちのバラエティ番組『青春MT』にも出演しているため、見覚えのある人も多いのではないだろうか。子役からキャリアを成長させ、今や主演作品も多く引っ張りだこだが、まだ23歳。これからの更なる成長に期待できる女優だ。

 ヒョンジンの親友ウノを演じるのは、『青春の記録』でパク・ボゴム演じるヘジュンの親友でありライバルを演じたピョン・ウソク。今回も良き友達として、そして恋のライバルとしての役どころであるが、『青春の記録』とは全く違う展開になっていて、彼がやっと報われたようだった。

 1999年が舞台なので、スマートフォンではなく公衆電話やポケベルが出てくる。気軽に連絡が取れないところも少しもどかしく、良い雰囲気を醸し出す。何より、ボラの実家がレンタルビデオ店というところも、Netflixで配信している現代との乖離を感じさせてくれる。

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