『PICU』吉沢亮演じる志子田の瞳に宿る力 青臭い正義感が犯した大きな過ち
志子田役を演じる吉沢は黒目がはっきりしており目が澄んでいるからこそ、その黒目が何を捉えているのか、何に照準を合わせているのか、一目でわかる。それゆえ莉子にも周囲の大人たちのようには上手く嘘を突き通せず、目を逸らしたのが伝わってしまったのだ。自分に呆然としているさまや不甲斐なく思っている様子も、その黒目の所在や、そこに魂が入っていないさまで、何も語らずともありありと画面越しにわかる。
まだ新人で場数も圧倒的に足りない志子田が第1話でも女児が死亡した後すぐに開かれたミーティングでの淡々とした周囲の様子に疑問を呈したり、今話で”良かれと思って“真実を勝手に本人に伝えたりして、ある意味自身の感情に素直に従い反射的に“正しい”と思える行動に出るが、いずれも志子田だけが人一倍正義感が強いわけでも青臭いわけでもなく、植野も含めどの医師もきっと新人時代にそんな経験や葛藤を経てきたのだろう。そんな中自分がどうするのがベストなのか、患者や今後の医療のためにできることは何なのか、今の状況と経験値を照らし合わせて迷いながら、その迷いを周囲には見せずに“次に繋がる”最善策を選択し続けてきた結果、今の彼らがあるのだろう。
志子田の幼なじみで小児外科医の舞(菅野莉央)が言っていた通り「私は何が正しいとかまだわかんないから」という謙虚さを持ち合わせながら“最悪のシナリオ“を描き、そして救命医の綿貫(木村文乃)の言葉を借りれば「自分に酔わないで」考え抜くことが求められ続ける、一瞬の判断ミスも許されない大変な仕事だと改めて痛感させられた。だからこそ、植野の言う「落ち込みそうになっても立ち上がって学ぶ、その繰り返し」という言葉に説得力が宿るのだ。
さて、次週は一人網走で救命医として奮闘する幼なじみの悠太(高杉真宙)が前話電話で言いかけて言えなかった、飲み込んだ問題が明かされそうだ。同じく医師である親友のピンチに志子田は気づき手を差し伸べられるのか。
■放送情報
『PICU 小児集中治療室』
フジテレビ系にて、毎週月曜21:00~21:54放送
出演:吉沢亮、木村文乃、安田顕、生田絵梨花、高杉真宙、菅野莉央、甲本雅裕、中尾明慶、高梨臨、菊地凛子、正名僕蔵、松尾諭、大竹しのぶほか
脚本:倉光泰子
演出:平野眞
プロデュース:金城綾香
医療監修:浮山越史(杏林大学病院)、渡邉佳子(杏林大学病院)
主題歌:中島みゆき「俱に」(ヤマハミュージックコミュニケーションズ)
音楽:眞鍋昭大
©︎フジテレビ
公式サイト:https://www.fujitv.co.jp/PICU/
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