『メイドインアビス』第2期は“価値の選択”がテーマに リコとワズキャンには共通点も?

『メイドインアビス』ファプタの演説は圧巻

 TOKYO MXほかにてTVアニメ『メイドインアビス 烈日の黄金郷』の第9話「帰還」が放送された。これまでに成れ果て村の存在やファプタの目的が明らかとなり、いよいよクライマックスに向けて盛り上がりを見せている。そして最終回となる第12話が1時間の拡大版として放送されることも発表されており、これからますます注目を集めていくことは間違いなさそうだ。

 イルミューイとガンジャ隊の過去編で描かれたのはワズキャンの冷酷非情な一面。だが、仲間思いなリーダーとしての側面や類稀なリーダーシップもあり、憎めないヤツでもある。今回、リコとワズキャンの会話から分かったのは2人がとてもよく似ているということだ。リコは周りからどう思われようともとてつもない探究心をもってアビスの深層に挑んできた。対してワズキャンもまたアビスにあるとされる黄金郷を目指して途方も無い旅を続けてきたガンジャ隊の一員。2人には底知れぬ探究心という共通点がある。

 ワズキャンの過去の所業をヴエコから聞いた上で「あなたのことは分からない」と答えたリコだったが、彼女はワズキャンの真意を見抜いていた。夢を追い求め続けてきた2人だからこそ理解できる部分があったのだろう。リコに欲望の揺籃を使わせることで、成れ果て村の住人が再び冒険、つまりは黄金郷を目指す旅を続けることをワズキャンは目論んでいたのだ。

 ファプタの体の一部を成れ果て村に持ち帰ったレグだが、彼はファプタの願いである成れ果て村の殲滅に協力するべきか迷っていた。外部から成れ果て村を訪れたレグにとって、村が存在しようとしまいと正直どうでもいいことだ。しかし、リコはこの村が好きだと言い、またレグも居心地の良さを感じているようだった。ファプタの要求にすぐ返事をせずに、ためらいを見せたのはそういった理由からなのだろう。だが、ファプタの体の一部を村に持ち込んだことで暴走したジュロイモーとの対決で、レグは火葬砲を使う決断を余儀なくされる。結果的にジュロイモーは倒れたが、火葬砲の強力な熱線で村に穴が空いて、ファプタが入り込んできてしまう原因を作ってしまった。ファプタとリコの思いに板挟みになりながらも、決断を迫られる様子は価値の選択という第2期のテーマを表しているようにも感じた。

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