『メイドインアビス』“生の積み重ね”をリアルに描いた最終話 黄金郷の物語がついに終幕
村が崩壊し、村人も全員が消えてしまう中でヴエコだけは生き残っていた。イルミューイの記憶は全て受け継いでいたはずのファプタの記憶の中にはヴエコの記憶だけはなく、ファプタは母の記憶を教えてほしいとヴエコに語りかける。イルミューイにとってヴエコの記憶はたとえ、娘のファプタであっても渡したくはない大切なものだったのだ。村人を恨んでいたと思われていたイルミューイだが、ヴエコに対する愛情はずっと持っていたということなのだろう。身体が崩壊しながらも最後までイルミューイに思いを伝えるヴエコの姿と、それに涙するファプタのやり取りには目頭が熱くなった。
そして最後にはファプタに一緒に旅をしようと伝えたレグ。過去の記憶を全て忘れてしまっても、レグはファプタの様々な感情を知ってしまった。過去にも同じ約束をしていたレグのプロポーズとも取れる言葉にファプタが涙を流していたのが、最後にファプタが報われたような気がして幸せな気持ちになった。
生の積み重ね。その価値こそが黄金郷、つまりはアビスの真髄なのだろう。最終話を1時間で描くことに不思議と疑問を覚えたが、改めて視聴してみるとその意味が分かった気がする。探窟家が直面する絶望と希望、そして生と死の生々しい現実を等しく描くことによって、作品のテーマを伝えていたのかもしれない。『メイドインアビス』はこれから私たちにどのような物語を見せてくれるのだろうか。
■配信情報
『メイドインアビス 烈日の黄金郷』
Amazon Prime Videoほかにて配信中
監督:小島正幸
副監督:垪和等
出演:富田美憂、伊瀬茉莉也、井澤詩織、原奈津子、久野美咲、寺崎裕香、平田広明、斎賀みつき、後藤ヒロキ、市ノ瀬加那、斉藤貴美子、竹内良太、水瀬いのり、森川智之
シリーズ構成・脚本:倉田英之
キャラクターデザイン:黄瀬和哉(Production I.G)、黒田結花
デザインリーダー:高倉武史
プロップデザイン:沙倉拓実
美術監督:増山修、関口輝(インスパイアード)
色彩設計:山下宮緒
撮影監督:江間常高(T2 studio)
編集:黒澤雅之
音響監督:山田陽
音響効果:野口透
音楽:Kevin Penkin
音楽プロデューサー:飯島弘光
音楽制作:IRMA LA DOUCE
音楽制作協力:KADOKAWA
アニメーション制作:キネマシトラス
©つくしあきひと・竹書房/メイドインアビス「烈日の黄金郷」製作委員会
公式サイト:http://miabyss.com/
公式Twitter:@miabyss_anime