中国映画『シスター 夏のわかれ道』予告編公開 大九明子、古舘寛治らの絶賛コメントも

『シスター 夏のわかれ道』予告編公開

 11月25日公開の中国映画『シスター 夏のわかれ道』の予告編が公開された。

 本国ではコロナ禍の2021年に公開され、2週連続興収No.1を獲得、同年公開の世界的ヒット作『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』を超え、興収171億円を記録した本作。中国版アカデミー賞とされる金鶏奨ほか、国内の映画賞で女優賞をはじめ数々の賞を受賞した。

 看護師として働くアン・ラン(チャン・ツィフォン)は、医者になるために北京の大学院進学を目指していた。ある日、疎遠だった両親を交通事故で失い、見知らぬ6歳の弟・ズーハン(ダレン・キム)が突然現れる。望まれなかった娘として、早くから親元を離れて自立してきたアン・ラン。一方で待望の長男として愛情を受けて育ってきたズーハン。姉であることを理由に親戚から養育を押し付けられるが、アン・ランは弟を養子に出すと宣言する。養子先が見つかるまで仕方なく面倒をみることになり、両親の死すら理解できずワガママばかりの弟に振り回される毎日。しかし、幼い弟を思いやる気持ちが少しずつ芽生え、アン・ランの固い決意が揺らぎ始める。自分の人生か、姉として生きるか。葛藤しながらも踏み出した未来への一歩とは。

 アン・ランを演じるのは、岩井俊二監督作『チィファの手紙』に出演したチャン・ツィフォン。弟役のダレン・キムは本作が映画初出演となる。監督は本作が長編2作目となるイン・ルオシン、脚本はヨウ・シャオインが手がけた。

映画『シスター 夏のわかれ道』予告編

 公開された予告編は、突然旅立った両親が残した見知らぬ弟を、姉アン・ランが「夢なんか捨てて弟を育てなさい」と親戚から押し付けられ、叱責されるシーンから始まる。弟は「肉まん食べたい!」とわがままを言い号泣し、両親の死を理解できない彼に振り回される毎日。しかし、弟の面倒をみるうちに、二人の心の距離は近づいていく。「僕にはお姉ちゃんしかいない」「ママの匂いがする」と姉を慕う弟に、これまで必死に生き「私の人生は私のもの」と考えていた姉の心は揺れ動く。葛藤しながらも、彼女が選んだ未来とは……。

 また、寺尾紗穂、小谷実由、野中モモ、大九明子、久米宏、陳建一、古舘寛治からの絶賛コメントも到着した。

コメント一覧

寺尾紗穂(文筆家・音楽家)

自分で「選ぶこと」と「選ばされること」とは天と地ほど違う。
ジェンダーや、社会システムの歪みが個人の人生をどのように損なうか。
この映画は、一つの告発であり、同時に新しい明日への賛歌でもある。

久米宏(フリーアナウンサー)

一人っ子政策 その影響が未だ顕著な中国で この作品は大ヒットした
この物語が人ごととは思えなかったのだろう

小谷実由さん(モデル)

彼女の揺れ動く心の変化や行動を目の当たりにして、自分だったらどんな選択をするだろうと考える。

陳建一(四川飯店オーナーシェフ)

疎遠だった両親の死、年違いの弟の出現。
中国の一人っ子政策ゆえの歪みをテーマにした物語。
健気な弟の描写や途々に変化していく姉の姿に感動しました。
特にラストシーンは心に沁みました。
是非 多くの人に見てもらいたい作品です。

野中モモ(ライター・編集者)

もし働きながら大学院進学を目指すけなげな彼女が男性だったら? 突然あらわれたやんちゃな弟が妹だったら?
事態はだいぶ違っていたはずだ。むずかしい選択を迫られる主人公を応援せずにはいられない。

大九明子(映画監督)

頭きた。ひどいじゃないか。女が何したっていうんだ。残酷な制度に踊らされた人々。何人たりとも、フロイドのTシャツを着たアン・ランに、敬意を表さねばならぬ。せめてもう、放っといて。何も我慢させないで。

古舘寛治(俳優)

国全体の一人っ子政策が実際に個人に何をもたらしたのかを普通我々はあまり想像しないだろう。それを体感させてくれるのが映画の力だ。そこには私たちとは全く違う社会に翻弄された個人のリアルな人生がある。
質の高い作品にはたくさんの観客が集まるという理想的な真理まで証明したという。素晴らしい。

賢くクールな若者が情に心を覆われてゆく様は人間とは何者かを私に思い出させる。

■公開情報
『シスター 夏のわかれ道』
11月25日(金)より、新宿ピカデリー、 ヒューマントラストシネマ有楽町、シネ・リーブル池袋ほか全国公開
監督:イン・ルオシン
脚本:ヨウ・シャオイン
出演:チャン・ツィフォン、シャオ・ヤン、ジュー・ユエンユエン、ダレン・キム
配給:松竹
2021年/中国語/127分/スコープ/カラー/5.1ch/日本語字幕:島根磯美
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