中国で人気の東野圭吾、映像化はどこまで進む? 中国版第1作『容疑者Xの献身』から紐解く

 新型コロナウイルスの影響で日本では映画館が休業を余儀なくされ、興行成績が全然振るっていないようだが、中国でも1月末から全国の映画館が休業中で、再開の見通しは立っていない。中国では近年、毎年の春節(旧暦の正月)に国内の大作映画を公開しており、今年は、東京を舞台にし、妻夫木聡や長澤まさみらも出演するミステリーコメディ映画『唐人街探案3(原題)』(『僕はチャイナタウンの名探偵3』)、藤崎竜による漫画『封神演義』(集英社)を原作とする3DCGアニメ『姜子牙』など、7本の中国映画の上映が予定されていた。しかし、1月23日に全て上映中止となり、そのうちの1本は早々にネット配信に踏み切ったが、残りは公開日も未定のままだ。

 コロナのせいで今年は日本と中国の新作映画がそれぞれの国で公開されるのは難しいかもしれないが、幸い小説の分野では盛り上がりが続いているようだ。先日、中国の有名SF小説家・劉慈欣の代表作『三体』(早川書房)の第2巻が日本で出版され、その反響は中国にも伝わっている。劉慈欣はすでに中国人との会話のきっかけになったが、中国で広く知られている日本人作家も少なくない。そのうちの一人が東野圭吾だ。

 中国における東野圭吾人気を端的に語っているのが、昨年でもう13回実施されている「外国人作家ランキング」の結果だ。中国の各分野で売れている作家を選ぶランキングの外国人作家部門で、東野圭吾は2017~19年連続で村上春樹ら世界の作家を押さえて1位だった。この結果は中国で東野圭吾の小説が大勢の人々に読まれているだけでなく、東野圭吾ブランドの版権ビジネスが活況であることを表している。

 中国ではおそらく2015年前後から東野圭吾作品の映像化が本格的に始動し、2017年に公開された『容疑者Xの献身』は中国版第1作目に当たる。同映画は中国の東北部を舞台にしていて、全体的にジメジメとしたシリアスな内容だ。中国版としての大きな特徴の一つに、主人公の湯川(中国版では唐川)がただの大学教授ではなく、刑事警察学院の教授、つまり一般人ではなく警察側の人間であるということが挙げられる。また石神(中国版では石泓)から不気味さが減り、不器用だけどいい人という印象を与えるキャラになっている。他にも、原作ではなかった湯川と石神のカーチェイスもあり、視聴者を飽きさせないシーンが盛り込まれている。

映画『ナミヤ雑貨店の奇蹟 -再生-』

 監督のアレックス・スーは同映画を製作するに当たり、東野圭吾側と二つの約束を交わした。一つは脚本を必ず日本側に見せるということ、もう一つはすでに製作済みの日本版と韓国版と異なる改編をするということだ。そのため製作側は脚本を30回以上書き直し、日本側とやり取りするたびに翻訳業務を挟む必要があったため非常に時間がかかったと述べている。

 同じく2017年には『ナミヤ雑貨店の奇蹟』の中国版が公開され、ジャッキー・チェンが雑貨店の店主を演じた。1990年代の中国を舞台にし、十分にローカライズできていたが、残念ながら評価は高くない。

 そして中国では今年6月、『ゲームの名は誘拐』(中国語タイトル『十日遊戯』)のネットドラマ版が配信されている。同月には映画『さまよう刃』の撮影が始まった。そしてネットドラマ『回廊亭殺人事件』(中国語タイトル『回廊亭』)も、新型コロナで中断していた撮影が再開された。

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「映画シーン分析」の最新記事

もっとみる