『鎌倉殿の13人』小栗旬、溢れ出す涙に込めた“小四郎”としての最後 執権・義時が誕生
これまでの回でも、小栗のきめ細やかな演技によって、義時が覚悟を決めて変貌していくさまを見せてくれた。変貌を繰り返すうちに、元来の優しく穏やかな義時から遠ざかっていたが、第38回では久方ぶりに“小四郎”の顔を見ることができた。けれど義時はこの先も、鎌倉を守るために、自らの感情を押し殺し続けていくだろう。ウグイス色の着物を脱ぎ、漆黒に身を包んだ“北条義時”は鎌倉幕府第二代執権となる。
なお、第38回では三浦義村(山本耕史)の立ち居振る舞いも心に残る。義村は、りくを殺そうとするトウ(山本千尋)に気づき、見事な体さばきでトウの動きを封じる。「俺の女になれ」という口説くような台詞にふと笑ってしまうが、かつて梶原景時(中村獅童)が善児(梶原善)を自らの下人にしたように、トウを自身の味方として取り込むつもりではないかとも感じられた。
裏切りと騙し合いのパワーゲームが繰り広げられる鎌倉で生き残るため、義村は柔軟に振る舞う。義時に手を貸すときもあれば、義時の知らぬ間に事を進めようとすることもある。執権となった義時に同調する義村は、明らかに義時の味方だ。だが、彼の行動は何を最終目的としているかが見えず、不気味でもある。義時の盟友だが、今後どう転ぶかは分からない。
山本耕史が2022年も絶好調! 『鎌倉殿の13人』三浦義村は間違いない代表作に
NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』の主人公・北条義時(小栗旬)が過酷な運命に翻弄されるほど、その盟友であり、誰よりも的確なアドバ…
■放送情報
『鎌倉殿の13人』
NHK総合にて、毎週日曜20:00~放送
BSプレミアム、BS4Kにて、毎週日曜18:00~放送
主演:小栗旬
脚本:三谷幸喜
制作統括:清水拓哉、尾崎裕和
演出:吉田照幸、末永創、保坂慶太、安藤大佑
プロデューサー:長谷知記、大越大士、吉岡和彦、川口俊介
写真提供=NHK