松岡茉優、役作りの裏にある演者としての想い 「作品は誰かに渡ってようやくゴール」
岡田准一と原田眞人監督による3度目のタッグ作『ヘルドッグス』が9月16日より公開中だ。復讐のみに生きてきた元警官の兼高(岡田准一)が、関東最大のヤクザ組織に潜入し、予測不能な展開に巻き込まれていく模様を描いた本作。兼高のボスとなる漢気ヤクザ土岐(北村一輝)の愛人でありながら、兼高とも道ならぬ関係を持つ極道の女・吉佐恵美裏を演じているのは、現在放送中の『初恋の悪魔』(日本テレビ系)で摘木星砂役を好演している松岡茉優だ。初のタッグとなった原田監督や主演の岡田の印象から、自身のアイデアも取り込んだという恵美裏の役作り、そして役作りをする上で意識していることについて話を聞いた。【インタビューの最後には、サイン入りチェキプレゼント企画あり】
「みんなで間を埋めていく作業が楽しかった」
ーー原田眞人監督とは今回初めての仕事となりましたが、原田監督の作品にはどのような印象を抱いていましたか?
松岡茉優(以下、松岡):『KAMIKAZE TAXI』など原田監督の作品を拝見していて、ワイルドでハードな世界観が魅力的だなと感じていました。今回の『ヘルドッグス』は、台本を読んでいても休むところがないほどアクションシーンが連続するので、まさに真骨頂だなと感じていました。“ノンストップ・クライム・エンターテイメント”という言葉通り、最後まで見届けられないほど、ハードな映画になっていると感じています。
ーー松岡さんが演じられたのは、東鞘会・神津組のボス土岐(北村一輝)の愛人でありながら、ヤクザ組織に潜入させられた元警官・ 兼高(岡田准一)とも道ならぬ関係を持つ極道の女・吉佐恵美裏です。
松岡:恵美裏さんは、他の男性陣には力では敵わないけれど、自分の信念を曲げずにいるために頭や心を使って、日々いろんなものを心の中で殺しながら生きている人だと思います。なぜ危険を冒して土岐の近くにいるのかが物語の後半でわかってくるのですが、その理由がわかったときに、共感してもらえるのではないかなと。なぜ彼女がここにいるのかがわかってきたとき、「そうだったんだ」と思っていただけるように努めました。
ーー背中のタトゥーやセクシーなドレス、赤い口紅など、ビジュアル的にもインパクトがありました。
松岡:今回タトゥーを制作してくださったチームが、私が18歳のとき、大火傷を負っている女の子の役を演じさせていただいた時代劇でご一緒した江川悦子さんだったんです。当時、純朴で、毎日ひたむきに一生懸命生きている女の子の役だったのが、今回、背中に大きなタトゥーが入ったヤクザのボスの愛人役ということで、そのギャップに2人でクスクス笑いながらメイクをしていただきました。タトゥーの位置が決まると、衣装の宮本まさ江さんが「じゃあこの服はこうしちゃおう」と言って、服をちょっと切ってくださったり、メイクの酒井啓介さんが「それなら髪はこっち側に流すと美しく見えるよね」と言ってセットしてくださったり。そうやって皆さんと一緒に恵美裏さんのキャラクターを作っていけたのが、とても思い出深いです。キャラクター性の強い役だからこそ、みんなでその間を埋めていく作業が楽しかったですね。
ーー緑色の髪など松岡さんのアイデアで決まったものも多かったそうですね。
松岡:そうですね。みんなと話し合いながら、「金髪がいいんじゃないか」「ピンクはどうか」という意見も出たりしたのですが、緑色には“怪しさ”があると思って。「この人はなんなんだろう」と一度立ち止まって考えてもらえるのかなと思いました。なので、「緑ってどうでしょうか?」と監督にお尋ねしたら、二つ返事で「いいじゃない」って言ってくださって。それで緑色に染めることに決まりました。
ーー主演の岡田准一さんの印象はいかがでしたか?
松岡:岡田さんとは今回初めて共演させていただいたのですが、監督が「このシーンはここから撮りたい」と言ったら、岡田さんが「じゃあここの動きはこう変えます」というように、阿吽の呼吸で進んでいく印象がありました。お2人の信頼関係を現場で目の当たりにして、私もチームの一員として踏ん張らなくては、と思いました。
ーー兼高をアニキと慕う東鞘会のヤクザ・室岡秀喜役の坂口健太郎さんとは『コウノドリ』シリーズ(TBS系)で共演されていますよね。
松岡:坂口さんは『コウノドリ』の頃から誰に対してもフラットな方だなという印象がありました。今回もアクション指導の方に積極的に質問をしたり、監督にも「ここはこうしてもいいですか?」など提案されていて、とても軽やかに現場におられました。とても魅力的な方だと思います。