櫛木理宇、真梨幸子、宮部みゆきらミステリー作家原作のWOWOWドラマで秋を堪能

宮部みゆきらミステリー作家原作ドラマの秋!

 小説のドラマ化に定評のあるWOWOWだが、現在放送・配信中の『連続ドラマW 鵜頭川村事件』は、過疎化の進む村で起きる怪事件を描いたパニックスリラーの傑作だ。

 行方不明となった妻を捜すため医師の岩森明(松田龍平)が娘を連れて、妻の故郷である鵜頭川村を訪れる。村では12年ぶりに開催される “エイキチ”という名前の神を祀る祭りの準備に活気づいていたが、どこか不穏な空気が漂っていた。

『連続ドラマW 鵜頭川村事件』

 本作は、妻を捜すために奔走する岩森の視点から鵜頭川村を支配する奇妙な風習を描いていく。日本中どこにでもある過疎化した村でありながら、何かがおかしい鵜頭川村は、突然の豪雨の影響で停電となり、トンネルは土砂崩れで埋まってしまう。外界から遮断されたことをきっかけに村で連続殺人事件が発生し、やがて騒乱状態に向かっていく。

 監督は『ビジランテ』や『ギャングース』といった娯楽性の高い社会派テイストの映画を得意とする入江悠。原作は『死刑にいたる病』が映画化されて近年注目を集め、人間心理の本質に迫るミステリーやホラー作品で定評のある櫛木理宇の同名小説。時代設定や岩森ほか登場人物たちの設定がドラマ向けに脚色されているため、原作小説を読まれた方でも「そう来るのか!」と、楽しめるのではないかと思う。

 『連続ドラマW 鵜頭川村事件』のほかにもWOWOWには小説をドラマ化した傑作が多い。たとえば宇佐美まことの小説をドラマ化した『連続ドラマW 黒鳥の湖』。ザイゼンコーポレーションの社長・財前彰太(藤木直人)は18年前に興信所の調査員だった時に「娘を拉致してひどい目に合わせた犯人を捕まえてほしい」と調査を依頼される。18年後、同じ手口の事件が世の中で話題となる中、財前の娘が何者かに誘拐される。

『連続ドラマW 黒鳥の湖』

 タイトルの「黒鳥の湖」とは、バレエの「白鳥の湖」から取られたもので、エンドロールではチャイコフスキーのクラシック「白鳥の湖」の有名なパートを、ロック調にアレンジした「Black Swan」が流れている。

 「白鳥の湖」は白鳥のオデットと黒鳥のオディールを、プリマが1人2役で演じるバレエで、白鳥は「清純」、黒鳥は「官能」の象徴である。だが、本作の「黒鳥」には別の意味があり、財前たち各登場人物の内面に重ねられている。事件の謎解きはもちろんのこと、ヒューマンドラマとしても堪能できる作品だ。

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