『ちむどんどん』が描き続ける“幸せになること”の重要性 二ツ橋が飲食業の難しさを説く

『ちむどんどん』二ツ橋が飲食業の苦労を説く

 今回、経営方針についてアドバイスを求めた二ツ橋も、素直に失敗を認めてやり直す勇気が大事だと暢子に教えてくれた。彼自身も独立して開業したレストランを潰してしまった過去があるという。

 一見華やかに見えるけど、実態は泥水に塗れるような大変な仕事。流れる水のように不安定で、大雨が降れば流されてしまうし、日照りが続けば干上がってしまう。飲食業の不安定さを二ツ橋はそう表現する。実際にコロナ禍でも、多くの飲食店が外出自粛の影響で閉店を余儀なくされた。「最後は息をするのも苦しくなり、誰も信じられなくなりました」という二ツ橋の語りは切実だ。そんな思いを暢子にさせたくないからこそ、二ツ橋は一度立ち止まって休むことを進める。

「あなたは飲食店で成功するために生きているわけじゃありません。幸せになるために生きているんです」

 夢も仕事も幸せになるための手段であり、目的そのものではない。それが自分を苦しめるものになってしまったら手放すのもまた一つの選択だ。

 第106話では、清恵(佐津川愛美)に離婚経験があることも明らかになった。猪野養豚場に突然押しかけてきた涌井(田邊和也)は、彼女の元夫。清恵が彼に貢いでボロボロになっていたところを父・寛大(中原丈雄)が見つけ、2人を別れさせたのだという。夢や仕事と同じように、恋愛もまた時には手放す必要があることもここで示唆されている。

 清恵のそばにいる賢秀(竜星涼)もまた、「長男としてビックになって家族を幸せにする」という気持ちから解放されつつある。苦しみは手放し、自分の心に従って思い切り幸せを享受すること。本作のテーマはそこにあるのかもしれない。

■放送情報
連続テレビ小説『ちむどんどん』
総合:午前8:00~8:15、(再放送)12:45~13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30~7:45、(再放送)11:00 ~11:15
※土曜は1週間を振り返り
主演:黒島結菜
作:羽原大介
語り:ジョン・カビラ
沖縄ことば指導:藤木勇人
フードコーディネート:吉岡秀治、吉岡知子
制作統括:小林大児、藤並英樹
プロデューサー:松田恭典
展開プロデューサー:川口俊介
演出:木村隆文、松園武大、中野亮平ほか
写真提供=NHK

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