『PSYCHO-PASS』最新作が目指すものは? 時代を先取りしていたシリーズを振り返る

「PSYCHO-PASS サイコパス」10周年記念PV

 そして新作劇場版のティザービジュアルには、1期のみならず2期、3期で活躍したキャラクターが勢揃いしている。このことからも、過去の『PSYCHO-PASS』シリーズを総括するような作品になることが予想される。

 同時にProduction I.Gが制作を務め、未来の日本を舞台にしたポリティカル・フィクションとなると、どうしても連想されるのが押井守の存在だ。押井守の大ファンであることを公言する本広は、本作の立ち上げ時に『機動警察パトレイバー』を参考にしていたことを明かしている。さらにサイバーパンクのSFアニメ作品といえば『攻殻機動隊』シリーズを連想する方も多いだろう。

 『パトレイバー』シリーズ、あるいは『攻殻機動隊』シリーズは90年代ごろから00年代を代表する作品であり、現在も高い人気を誇る。そしてその系譜は『PSYCHO-PASS』にも引き継がれており、10年代を代表する作品の1つとなった。SFや公安の警察官という要素を考えると、どうしても似たようなものを感じてしまうのは仕方ないだろう。

 新作では是非とも、Production I.Gが考える20年代のポリティカル・フィクションとしてのあり方を示し、そして押井守の過去作を継承しつつも、さらに発展させた姿を見せてほしい。

 近年は長年連載や放送、劇場版作品を制作し続けたシリーズもののアニメ映画が、話題を集めている場面が多く見受けられる。その中でも『PSYCHO-PASS』シリーズのように、テレビアニメからスタートしたオリジナルアニメで、コンスタントに制作されている作品はそう多くない。今作が20年代の今だからこそ、何を取り入れて語るのか、注目していきたい。

■公開情報
『劇場版 PSYCHO-PASS サイコパス PROVIDENCE』
監督:塩谷直義
アニメーション制作:Production I.G
配給:東宝映像事業部
©サイコパス製作委員会
公式サイト:https://psycho-pass.com/
公式Twitter:@psychopass_tv

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