『還魂』チョン・ソミンが1人3役を演じる それぞれの決断が最終回にどう繋がるのか?

『還魂』チョン・ソミンが1人3役を演じる

 人間の欲望が国を破滅へと導くが、国を救えるのもまた人間だ。第19話の次回予告での「去る者は去り、戻るべき者は戻るだろう」とのイ先生(イム・チョルス)の言葉を念頭に置いて、『還魂』(Netflixで配信中)の第17話・第18話を振り返りたい。

 チンヨ院の院長チン・ホギョン(パク・ウネ)が万長会を招集。大勢の前で「氷の石」を披露してソンニムと争いを起こすため、天附官の副官主チン・ム(チョ・ジェユン)による策略だ。思惑どおりに人々の欲は剥き出しになり、愚かな王のコ・スン(チェ・グァンイル)は「氷の石」の力で人間が生き返るところを見たいと言い出す。一刻も早く世子のコ・ウォン(シン・スンホ)に王の座を譲っていただきたいものである。

 その対象になったのがムドク(チョン・ソミン)だ。王の命令によりホギョンが術を使ってムドクの息の根を止めようとすると、突然、竜巻が起きる(氷の石の気と天の気がぶつかり合っている)。かつてチン・ブヨン(ユン・へヨン)が「氷の石」を見つけ出した時と全く同じ現象だ。ムドクの体にはブヨンとナクス(コ・ユンジョン)の魂が存在しており、ブヨンがムドクの命を守るために「氷の石」を利用したとも考えられる。

 ここでブヨンについて整理したい。「神女」と呼ばれる能力を持つのは、チンヨ院の初代院長チン・ソルランの転生だからだろう。チン・ムによって「氷の石」を奪われた上に殺されかけて記憶と力を失ってしまったが、ナクスを通して取り戻していった。ブヨンは万長会の中で、目の前にある「氷の石」を失くすこともできたはずだ。だがムドクの体はナクスが支配しているため、ナクスとコンタクトを取る必要がある。それが今回、ブヨンとナクスの初対話となったわけだ。

 そこでブヨンはナクスを試すような機会を与える。「氷の石」によって本来の力を取り戻したナクスは、結界を張られたチョンジン閣にいる全ての人の命と引き換えに還魂できるのか、「何かを得れば何かを失う」ことに耐えられるのかと。

 これまで一人で生きてきたナクスにとって、自分の野望のために誰かを犠牲にするなど関係なかったはずだ。けれど今は、「タニャン谷ではいい思い出しかない」とナクスを大切に想う初恋の人のソ・ユル(ファン・ミンヒョン/NU'EST)、手を貸しても捕まえようとはしない精一杯の優しさと恋心を押し殺す世子、2人がムドク(ナクス)の気持ちを受け止め送り出す先は、「俺を捨てるな。もし捨てたら泣くぞ」と師匠に訴える弟子であり最愛の人チャン・ウク(イ・ジェウク)がいる。ムドクでいるのは今回で最後にしようと何度も言い聞かせ、次はないと言ったはずが次の約束を聞いた。これが今もムドクでいる理由だ。ナクスは力を得るよりも、失いたくないものを選択する。

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