『ちむどんどん』賢秀は今までの失敗から学べるか? “ビッグなビジネス”の歴史を振り返る

『ちむどんどん』賢秀のビジネスの歴史

 我那覇が抜かりないのはきちんと次の一手を打っているところだ。賢秀と再会した際に我那覇は自分も投資詐欺で騙された被害者の一人であるかのように振る舞っていた。紅茶豆腐の在庫とともにもぬけの殻となった事務所に残された置き手紙に我那覇は、「身内に不幸があり、しばらく東京を離れる。ビジネスは中断せざるを得ない。君から預かった金はしばらく貸しておいてくれ」とまたしても自分に非があることを決して認めてはいないのだ。それは今回の我那覇の土下座から始まる再会にきちんと繋がっている。

 その間、賢秀は養豚場を主な拠点にしながら就職活動に励んでいたこともあった。さらに化粧品販売の行商・多田直美(安野澄)や青森から来た水国和歌子(駒井蓮)といった儚い恋の数々も。なんだかんだ養豚場の経営者・寛大(中原丈雄)に気に入られ、その娘・清恵(佐津川愛美)とも素直になれない腐れ縁のような関係にあるが、賢秀が夢見るのは“グレイトなビジネス”で一山当てて成り上がること。暢子の披露宴で熱唱する予定だった「時間よ止まれ」の矢沢永吉のような人生なのだ。

 賢秀にとって我那覇を頼るのは三度目の正直。時代の最先端をいく新たなビジネスとして我那覇の裏にいるのは、ジャイアントビタミン商事株式会社の黒岩(木村了)。紅茶豆腐に続き、またしても飲料系となる。賢秀の根本にあるのは迷惑をかけてしまっている暢子や母・優子(仲間由紀恵)のために恩返しがしたいという真っ直ぐな思い。だが、それが裏目裏目に出てしまっているのだ。おそらくこれが賢秀にとっても最後のチャンス。もちろんそれは家族や周りの人々の信用を取り戻すという意味でだ。

■放送情報
連続テレビ小説『ちむどんどん』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
※土曜は1週間を振り返り
主演:黒島結菜
作:羽原大介
語り:ジョン・カビラ
沖縄ことば指導:藤木勇人
フードコーディネート:吉岡秀治、吉岡知子
制作統括:小林大児、藤並英樹
プロデューサー:松田恭典
展開プロデューサー:川口俊介
演出:木村隆文、松園武大、中野亮平ほか
写真提供=NHK

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