Keyが描く新しい少女たちの物語 『プリマドール』が紡ぐ“役割の在り処”とは?

『プリマドール』が紡ぐ“役割の在り処”

 千代は、戦時中の頃と同様に夕霧に対して「お姉ちゃん」の役割を担ってくれることを期待している。しかし、今の夕霧はその期待に応えることができない。だからこそ、彼女の担うことのできる役割は、彼女のもとを去ることで、千代の記憶の中に「お姉ちゃんとしての夕霧」という温かなイメージとして生き続けることなのである。

 夕霧の役割は、彼女の一方的な言動によって決められたものでも、千代の一方的な期待によって決められたものでもない。2人の相互作用の中で生まれたものだ。

 『プリマドール』はシリーズを通じて、このような相互作用の中で、オートマタの少女たちの「役割」を問い続けていくのだろう。

 社会が変われば、期待される役割も変わる。その変化に対して、自分はどう応えていくのか。どのような役割を見出していくのか。『ご注文はうさぎですか?』を想起させるビジュアルや設定とは裏腹に、私たちの本質に関わる重要なテーマが隠された『プリマドール』は2022年夏アニメの注目作と言えるだろう。

■放送情報
『プリマドール』
TOKYO MXほかにて、毎週金曜24:30~放送
原案:VISUAL ARTS、Key
原作:VISUAL ARTS、Key、バイブリーアニメーションスタジオ
監督:天衝
キャラクターデザイン・総作画監督:矢野茜
出演:和氣あず未、楠木ともり、富田美憂
(c)VISUAL ARTS/Key/BAS・プリマドール製作委員会

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