『キングダム』大ヒットの理由を復習 世界を魅了したアクションを『金ロー』で!

『キングダム』大ヒットの理由を復習

 7月15日から公開となる『キングダム2 遥かなる大地へ』にあわせて、『金曜ロードショー』(日本テレビ系)で同日に『キングダム』が全編ノーカット放送される。すでに1作目を観た人は復習として、観ていなかった人にとっては導入のきっかけとして、絶妙なタイミングでの放送だといえるだろう。

 本作は2006年から『週刊ヤングジャンプ』にて連載開始され、累計発行部数9000万部(2022年6月時点)を記録した、原泰久による漫画が原作である。

 紀元前3世紀の古代中国・春秋戦国時代末期を舞台に、「中華統一」を目指す者たちの物語……と聞くと、どうもハードルが上がってしまいそうになるし、なかなか手が出せないという人たちの一番の懸念点は、内容が理解できるのかといったところだと思うが、本作は歴史スペクタクルである以上に、アクション作品としても十分堪能できる一作となっている。

 軸としてあるのは、サクセスストーリーであり、その中での友情や同じ志を持つ者たちの団結といった王道的展開には、心を揺さぶられ、胸が熱くなるはずだ。

 歴史の知識があるに越したことはないが、全く知識がなかったとしても楽しめる作品であり、本作を通して歴史に興味をもつ入り口としてもかなり機能しているといえるだろう。

 漫画だからこそ描けるスケール感というのも当然ながらあるだけに、それを映像化できるのかという不安もあるかもしれないが、本作を制作するために集まったスタッフは、日本映画の最高峰。漫画の映画化に対する不安を切り裂くように、見事な作品に仕上げており、その証拠として興行収入57億円を記録し、2019年度の実写邦画1位を記録した。

 さらに、本作は北米でも公開された。アジア圏での邦画人気はよく知られており、『コンフィデンスマンJP ロマンス編』(2019年)や『花束みたいな恋をした』(2021年)なども公開されているが、北米となると話は別。

 北米で今月公開される『ドラゴンボール超 スーパーヒーロー』(2022年)や『鹿の王 ユナと約束の旅』(2021年)のように、一部のアニメ映画が公開されることはあっても、実写邦画はほとんど公開されない。ソニー・ピクチャーズが関わっていることから、もともと世界市場を視野に入れているのだが、そのクオリティに届いていなければ海外に出すことはできないし、劇場公開を諦めてDVDなどのソフトスルーで完結させることも多い。

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