『バズ・ライトイヤー』ソックス人気を人間×ロボットの関係性から考察 “愛嬌”がカギに?
ディズニー&ピクサー最新作『バズ・ライトイヤー』が7月1日に劇場公開された。ピクサー作品が劇場公開されるのは、2020年の『2分の1の魔法』以来2年振りだ。本作は、ピクサーの代名詞とも言える『トイ・ストーリー』シリーズに登場するおもちゃ「バズ・ライトイヤー」の元となったキャラクターの活躍が描かれる。
今作が公開前に注目を集めたのは、「『トイ・ストーリー』シリーズでおもちゃたちの持ち主だったアンディが、1995年に映画『バズ・ライトイヤー』を鑑賞している」という設定だっただろう。アンディはこの映画を観て「バズ」を好きになり、『トイ・ストーリー』(1995年)の冒頭でバズのおもちゃを貰い、大喜びしているのだ。『トイ・ストーリー』シリーズ(特に1、2)でもバズが人気のおもちゃであることが分かる。しかし、本作でもっとも魅力的だったのは、ライトイヤーの相棒であり司令官でもあったアリーシャが、彼にプレゼントした猫型ロボットの「ソックス」だったのではないか。
今作は、主人公であるライトイヤーが地球外の惑星から自分達の星へ帰還するため奔走するさまが主に描かれている。ライトイヤーは、地球へ帰るため亜光速でテスト飛行を繰り返すうち、惑星で待つ仲間たちとの経過時間がズレる、所謂“ウラシマ効果”が生じ、すっかり代替わりした仲間たちから孤立して行く。そんな中、いつも変わらぬ姿でライトイヤーを待ち続けてくれるのがソックスなのだ。
ソックスはかわいい猫型ロボットなだけではなく、ハイスペックで賢い一面もある。人間には解けなかった高度な計算式が解ける能力があるうえに、プロジェクターやレーザーも搭載。頭が良く頼りになるのはもちろん、撫でると喉をゴロゴロ鳴らすかわいさも兼ね備えている。また人語を理解し話すことができるため、1人取り残されていくライトイヤーの支えとなり、なくてはならない存在として描かれるのだ。SF作品で人間と共に活躍するロボットといえば『スター・ウォーズ』シリーズに登場するドロイドたちが印象深いが、ソックスの1番の魅力は“猫型である”ことだ。
猫型のロボットが本作に登場することとなったのは、本作の監督であるアンガス・マクレーンが大の猫好きだったから。マクレーン監督は「ピクサー作品に犬のキャラクターは多く登場するが、猫のキャラクターが少ない」ことに気付き、猫型ロボットのソックスを登場させた。主人公に寄り添い、支えとなる存在が、私たちに馴染み深いペットの猫から着想を得ている点は、非常に感情移入しやすい。