宇野維正の興行ランキング一刀両断!
ディズニープラス急成長の代償? 『バズ・ライトイヤー』北米に続き日本でも鈍い出足
先週末の動員ランキングは『トップガン マーヴェリック』が土日2日間で動員23万6000人、興収3億9100万円をあげて通算5週目の1位に。7月3日までの38日間で動員487万6249人、興収76億3435万5790円。公開から1ヶ月が過ぎても驚異的な好推移をキープしていて、いよいよ興収100億円突破が現実味を帯びてきた。
初登場で2位につけたのはピクサー・アニメーション・スタジオの新作『バズ・ライトイヤー』。土日2日間の動員は20万5000人、興収は3億600万円。初日から3日間の動員は26万6727人、興収は3億8288万9300円。この数字を自分は深刻なものと受け止めた。その理由を述べよう。
『バズ・ライトイヤー』は、ピクサー・アニメーション・スタジオの看板シリーズ『トイ・ストーリー』シリーズのスピンオフ作品。主人公のバズ・ライトイヤーは『トイ・ストーリー』で活躍するおもちゃとして人格(?)を持ったキャラクターではなく、『トイ・ストーリー』の作品世界における人気アニメ作品のキャラクター、いわば劇中劇のキャラクターとして描かれる。
本シリーズ作品とスピンオフ作品との位置付けや設定はシリーズによって千差万別、スピンオフ作品になった際の本シリーズからの興収ダウンの度合いも作品によってかなり幅があるので一般化はしにくいが、『トイ・ストーリー』の近作2作品はいずれも最終興収100億円超え。今回のオープニング3日間の成績は、ちょうど3年前の同時期、2019年7月に日本公開された『トイ・ストーリー4』(最終興収100.9億円)の約22%にしか過ぎない。この結果には、週末のラージフォーマット・スクリーンを最優先で割いていた各劇場も拍子抜けしたことだろう。
2019年といえば、まだコロナ禍以前、そしてディズニープラスのサービスがスタートする前。『アラジン』や『ライオン・キング』や『アベンジャーズ/エンドゲーム』も大ヒットして、ディズニー配給作品が国内興行でも圧倒的な強さを誇っていた年だ。あれから3年。国内外でディズニー作品を取り巻く状況は大きく変わった。