『バズ・ライトイヤー』ソックス人気を人間×ロボットの関係性から考察 “愛嬌”がカギに?

『バズ・ライトイヤー』ソックスなぜ人気に?

 ロボットと人間の関わりは興味深い。例えば、昨今話題の「LOVOT」は、ペットのように可愛がる“役に立たない”ロボットだ。また、ソニーが販売している犬型ロボットの「aibo」は、1999年の発売当初から多数の飼い主がいるが、旧型aiboのサポートが終了した後に故障すると、大事なペットと別れるほかなくなることが話題となった。一方で、人間と中途半端に似ているロボットや、動きが極端に細かくしなやかなロボットは“不気味の谷”に落ちやすい。2020年7月のコロナ禍で開幕されたプロ野球では、福岡ソフトバンクホークスの応援団としてロボットの「Pepper」と「Spot」が応援席でダンスする様子が話題となったが、「かわいい」という反応の他に、「怖い」「不気味」などの反応も多かった。ロボットは主に人間の生活や安全を守るために作られるが、同時に、人間に受け入れられ、愛される要素も必要になるのだ。

 本作に登場するソックスは実際にファンから人気が高く、アメリカや日本ではソックスの関連グッズが売り切れるほどだ。また、本作は大人向けなストーリー展開なので、「ソックスの存在がなければ、子どもが最後まで飽きずに観ることはできなかったかもしれない」との意見も耳にした。ソックスはAI搭載のロボットであり、自分でものを考え行動するシーンも多い。アニメーションに登場するキャラクターとはいえ、私たちはソックスを“ロボット”と認識するとともに、それ以上の存在価値を感じるのだ。それは、ただのペットロボットではない大活躍と愛くるしい行動に、魅力と親しみを感じるからだろう。

 いつか私たちの日常でもロボットと生活し、ロボットを家族のように感じられる日が来るかもしれない。そんな時、私はソックスのように魅力的で愛らしく、いつまでも一緒に居てほしいと思えるような、かけがえのない存在になりうるロボットと共に生活できたらと思う。

参照

https://exp-d.com/interview/4482/
https://www.cinematoday.jp/news/N0131009
https://wired.jp/2015/11/06/uncanny-valley-creepy-robot/
https://youtu.be/7VhhGOBKu9k

■公開情報
『バズ・ライトイヤー』
全国公開中
監督:アンガス・マクレーン
製作:ギャリン・サスマン
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
(c)2022 Disney/Pixar. All Rights Reserved.

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