『ミニオンズ フィーバー』北米No.1の大フィーバー! Z世代の人気再燃で歴代記録を更新

『ミニオンズ フィーバー』北米No.1獲得

 「ミニオンズ フィーバー」とは、まさにこのことである。7月1日~3日の北米週末ランキングは、おなじみ『怪盗グルー』『ミニオンズ』シリーズの最新作『ミニオンズ フィーバー』が堂々の初登場。3日間で1億851万ドルという、大ヒット中の『トップガン マーヴェリック』にも迫る勢いのオープニング興行収入を記録した。

 北米では7月4日は独立記念日のため、『ミニオンズ フィーバー』はさらに数字を伸ばし、4日間では1億2790万ドルを稼ぎ出す見込み。正確な数字は追って発表されるが、独立記念日の週末に公開された映画としては『トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン』(2011年)を抜いて歴代記録を更新するとみられる。

 『ミニオンズ フィーバー』では、1970年代を舞台におなじみミニオンたちと少年グルーが再び大暴れする。本作は『ミニオンズ』(2015年)の続編であり、『怪盗グルー』シリーズとしては通算5作目。3日間の興収成績は『ミニオンズ』の1億1571万ドルにわずかに届かなかったが、4日間の成績ではシリーズ最高記録となる。

 コロナ禍において家族向けのアニメーション映画は長らく苦境に置かれ、ディズニーはピクサー映画を配信リリースに回してきた(もっとも、そのツケが『バズ・ライトイヤー』に回ったとも考えられるのだが)。その一方で、『ミニオンズ フィーバー』のユニバーサル・ピクチャーズは同じくアニメーション映画の『バッドガイズ』を4月に公開し、(数字の規模こそ異なるが)ランキングの首位に導くなど、市場の様子を折に触れて確かめてきたのである。

 『ミニオンズ フィーバー』はコロナ禍による製作遅延のため、当初の計画より2年遅れての劇場公開となったが、この滑り出しは十分に「大成功」と言えるものだろう。オープニング成績が1億ドルを超えたハリウッドのアニメーション映画は史上10作目で、1億851万ドルという数字は、その中でも『シュレック3』(2007年)を抜いて歴代第8位の成績。もはや「コロナ禍では……」という枕詞さえ必要ないほどだ。

 本作はRotten Tomatoesにて批評家スコア71%、観客スコア91%を記録。観客の出口調査に基づくCinemaScoreでは「A」評価を獲得しているほか、別の調査によれば71%が「人に薦めたい」と回答。10代の観客からも高い支持を得ているが、これはサウンドトラックのプロデューサーにテイラー・スウィフトやラナ・デル・レイらを手がけるジャック・アントノフを起用し、Z世代/TikTok世代に『ミニオンズ』人気を再燃させた戦略の勝利とも分析されている。

 『ミニオンズ フィーバー』は海外61市場でも興行収入9370万ドルを記録しており、すでに全世界興行収入は2億ドルの大台を突破。7月15日の日本公開に先がけ、イギリスやメキシコで特に秀でた成績を示している。なお、大ヒットシリーズの最新作とあって、ユニバーサルは世界各国の企業やテレビ番組などとの巨大タイアップを展開中。Deadlineによると宣伝・広報費には2億8500万ドルもの巨額が動いているというから、絶賛フィーバー中の本作も損益分岐点は思いのほか高そうだ。

 さて、ランキングの第2位以下を見ていく前に、先週の状況をざっと振り返っておこう。6月24日~26日の週末興行は、『トップガン マーヴェリック』『エルヴィス』がともに3日間で3050万ドルを稼ぎ出してNo.1を争うという大接戦だった。正式に数値が確定するまで勝敗はわからなかったわけだが、まずは対戦結果を確かめておきたい。

 先週のランキングを制したのは『エルヴィス』で、実際は予想を上回る3121万ドルを稼ぎ出していた。かたや『トップガン マーヴェリック』は、事前の報告値を下回る2961万ドルで第2位に収まっている(確定値の発表前、日本国内で「全米では首位返り咲き」という勇み足の広報が打たれていたことも指摘しておくべきだろう)。

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