香川照之の印象的な悪役3選 『六本木クラス』で体現する“既視感のない悪”にも期待

香川照之の印象的な悪役3選

『クリーピー 偽りの隣人』西野

 悪役だけど、なぜか惹かれてしまう。“威厳”と“愛嬌”を兼ね備えた香川が演じる悪役は、ダークヒーローともいえる不思議な求心力がある。その最たる人物が、2016年に公開された映画『クリーピー 偽りの隣人』の西野だ。様々なタイプの悪役がいるが、彼は関わり合いになりたくない人No.1といっても過言ではない。

 同作は、ある夫婦が“奇妙な隣人”への疑惑と不安から深い闇へと引きずり込まれていくさまを描いたサイコスリラー。その隣人こそが、香川演じる妻子と3人暮らしの西野である。その正体は隣人一家に取り入り、最終的にはマインドコントロールにより崩壊に追い込むサイコパス。第一印象は誰が見ても変人だが、突如善人ヅラで近寄り相手に安心感を植え付ける。そして、距離が縮まったところで相手の弱みに漬け込むのだ。

 香川が体現した「もしかしたら、自分の隣人も?」と身の毛がよだつような、変にリアリティのある薄気味悪さは見事だった。大和田や利根川のように人気キャラにはなり得ないが、実際近くにいたら自分だけは支配されないと言い切れないのが怖いところ。憎しみや恐れ故に、その存在が心をどんどん侵食していく。主人公にとっても、作品にとっても、いつの間にかシンボルとなるようなカリスマ性が香川の演じる悪役の魅力だ。

 そんな香川にとって、『六本木クラス』で演じる長屋会長は約束されたかのような役柄である。「意外と正義」と香川自身が語るように、彼からは完全な悪人と言い切れない一面も見え隠れするからだ。一軒の定食屋から始めて、巨大コンツェルンを作り上げた敏腕経営者としての矜持があり、新たちに温情を施す場面も。新の方も長屋を恨みながら、経営者としてある種の尊敬も抱くようになる。

 先日行われた制作記者会見で「単純な悪ではなく、既視感のない“悪”というつもりで演じてみたいと思っている」と意気込んだ香川。自身の強みを活かしながら、これまでとは一味違った悪役に挑む姿に注目したい。

参照

https://www.asahi.com/and/entertainment/419880664/

■放送情報
『六本木クラス』
テレビ朝日系にて、7月7日(木)スタート 毎週木曜21:00〜21:54放送
※初回は10分拡大スペシャル、21:00~22:04放送
主演:竹内涼真、新木優子、平手友梨奈、早乙女太一、鈴鹿央士、香川照之、稲森いずみ、緒形直人、光石研、中尾明慶、矢本悠馬、さとうほなみ、近藤公園、田中道子
原作:チョ・グァンジン『六本木クラス~信念を貫いた一発逆転物語~』(ウェブ漫画/電子マンガ・ノベルサービス「ピッコマ」掲載中)、チョ・グァンジン/キム・ソンユン『梨泰院クラス』(テレビシリーズ/JTBC)
脚本:徳尾浩司
演出:田村直己、樹下直美ほか
音楽:高見優
(c)テレビ朝日
公式サイト:https://www.tv-asahi.co.jp/roppongi_class/
公式Twitter:https://twitter.com/roppongi_class
公式Instagram:https://www.instagram.com/roppongi_class/

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