『鎌倉殿の13人』南沙良×迫田孝也、“変わらぬ”2人の最期 義高を感じる蝉の鳴き声が響く

『鎌倉殿の13人』“変わらぬ”2人の最期

 大姫の最期も心苦しい。義高の父・義仲を愛した巴御前(秋元才加)との対話によって新たな一歩を踏み出す勇気を持った大姫だったが、京では丹後局(鈴木京香)のきつい洗礼が待ち構えていた。その後、病に倒れた大姫の容体は悪化し、20歳という若さで亡くなる。

 義高の死後、心に深い傷を負った大姫は、たびたび不可思議な言動をして周囲を困らせていた。けれども、そんな大姫の柔らかな微笑みや軽やかな所作は愛らしい。大姫の家族、特に北条家は、困惑しつつも、そんな大姫に笑顔を向ける。家族のやりとりには愛が感じられるが、家族の愛があっても、大姫の心の傷は癒えなかった。病床に伏す大姫の「好きに生きるということは好きに死ぬこと?」という問いには、大姫の母である政子(小池栄子)だけでなく、視聴者も心を引き裂かれる思いになったはずだ。

「死ぬのは、ちっとも怖くないの。だって、死ねば義高殿に会えるんですもの。楽しみでしかたない」

 義高を慕い続ける心だけが変わらず、大姫を支えてきたのだろう。義高は蝉の抜け殻を集めるのが好きだった。奇しくも、大姫が亡くなる直前、外では蝉が鳴いていた。義高の気配を感じさせる演出と、死ぬのが怖くないという大姫の台詞に、心が痛みながらも、大姫が自分の幸せのために歩みを進めたという安堵も感じられた。

 2人の「変わらぬ人」が最期を迎えた第24回。大姫の死後も入内工作に乗り出すもう1人の「変わらぬ人」頼朝にも死の影が忍び寄る。

■放送情報
『鎌倉殿の13人』
NHK総合にて、毎週日曜20:00~放送
BSプレミアム、BS4Kにて、毎週日曜18:00~放送
主演:小栗旬
脚本:三谷幸喜
制作統括:清水拓哉、尾崎裕和
演出:吉田照幸、末永創、保坂慶太、安藤大佑
プロデューサー:長谷知記、大越大士、吉岡和彦、川口俊介
写真提供=NHK

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