『鎌倉殿の13人』“成長著しい”坂口健太郎の登場が話題に 小栗旬にそっくりな雰囲気も

『鎌倉殿の13人』“成長著しい”坂口健太郎

 『鎌倉殿の13人』(NHK総合)第23回「狩りと獲物」。源頼朝(大泉洋)は嫡男・万寿(金子大地)の披露目の場とするため、御家人を集めて富士の裾野で巻狩りを行う。そんな中、頼朝を憎む曽我十郎(田邊和也)・五郎(田中俊介)兄弟が謀反を計画していた。

 第23回は、今後の展開の伏線となるような気になる動きが多く見られた。頼朝の死の真偽がわからない中、比企能員(佐藤二朗)とその妻・道(堀内敬子)は一族の生き残りをかけて源範頼(迫田孝也)に鎌倉殿の座を継がせようとする。実衣(宮澤エマ)もまた、頼朝の次男・千幡が跡継ぎとなる可能性を思い浮かべ、乳母として千幡を育てた甲斐があったと謎めいた笑みを浮かべるなど、方々で不穏な言動が相次いだ。北条義時(小栗旬)の父・時政は、曽我兄弟の一件において義時の機転に救われながらも、五郎に死罪を言い渡す義時に不穏さを感じている。

 しかし今回最も注目を集めたのは、金子大地と坂口健太郎が演じる“成長著しい”万寿と金剛の姿だろう。

 物語序盤の金子の演技で心惹かれるのは、万寿のまっすぐさと繊細さである。「それでは、行ってまいります」の凛とした声色や父・頼朝の言葉に耳を傾ける真剣な顔つきには、巻狩りへの意気込みがうかがえる。後述する金剛とは違い、万寿は幼少期から体が弱く、また立場の違いもあって甘やかされて育った印象がある。

 そんな万寿を演じる金子の険しい顔立ちは、一見とっつきにくそうで我が強そうにも見える。けれど万寿は、なかなか成果を得られないからといって周囲に八つ当たりするのでもなく、純粋に落ち込むし、矢を放った直後には納得いかない表情を見せ、その様子は怒りというより焦りに見える。梶原景時(中村獅童)の助言に声を上げたり、金剛の見事な腕前を見てにたまらず走り去ったりするが、それが決してワガママな振る舞いには見えない。万寿は父や御家人の期待を感じているからこそ、自分のふがいなさに焦り、苛立っているのだ。

 金子はそんな万寿の心情や、父・頼朝に認められたい、父のようになりたいという純粋な思いを理解し、演技に込めているように思う。万寿が子鹿を射止めたとき、彼は心の底から安堵したのか、ふと柔らかな表情を見せる。後に仕組まれた芝居だと気づき、すぐに険しい顔に戻ってしまうが、あの柔らかな表情こそが、純粋でまっすぐな本来の万寿の顔に思えてならない。

 とはいえ、曽我兄弟の襲撃時に、万寿は次なる鎌倉殿にふさわしい振る舞いを見せる。真っ先に鎌倉の守りを固めさせ、義時と金剛に適切な指示を出す。万寿は源氏の棟梁である父・頼朝のような威厳をごく自然に発揮していた。その姿に、鎌倉幕府2代目将軍・頼家として、金子が本作でどのような立ち居振る舞いを見せるのか期待が高まった。

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