トップランナーから期待メンまで パク・ジェチャン、パク・ジニョンら“演技ドル”注目の5人
「あの俳優って、アイドルだったの!?」そう驚くことが当たり前になるほど、俳優業での活躍が目覚ましいK-POPアイドルたち。俳優活動はアーティストとして表現の幅を広げられるだけでなく、個人の知名度が上がれば、グループの再認知や人気向上にもつながる。特に男性グループの場合は、他メンバーの兵役による空白期を埋める貴重な活動でもある。
それに、第58回百想芸術大賞で専門家が選ぶ最優秀演技賞と一般投票によるTikTok人気賞をW受賞した『赤い袖先(原題)』の2PMのジュノのように、兵役を終えてから円熟味をさらに増して脂がのる人もいる。
『彼女はキレイだった』や『酒飲みの都心の女たち』に出演したSUPER JUNIORのチェ・シウォンや、ともにZE:Aの『それでも僕らは走り続ける』イム・シワン、『サウンドトラック#1』のパク・ヒョンシク、『100日の郎君様』や映画『神と共に』シリーズに出演したEXOのD.O.ことド・ギョンスなどは、もはや別格レベル。今回は、期待の存在も含めて男性の“演技ドル(演技も上手いアイドル)”をピックアップした。
イ・ジュノ(2PM)『赤い袖先(原題)』
現在、人気と注目を集める“演技ドル”のトップランナーといえばジュノ。彼も惚れ込んだ同名小説を原作に、朝鮮第22代王正祖イ・サンと才能に溢れた女官ソン・ドクイムとの恋愛を中心に据えたロマンス時代劇は韓国でシンドローム級の大ヒットとなった。
王を象徴する衣と、女官の印である衣の、それぞれの赤い袖先がタイトルの由来である。ジュノは、王宮で高慢にならざるを得ないイ・サンとして、自由な精神を持つソン・ドクイム(イ・セヨン)を愛していく過程を繊細に体現。これまでヒョンビン、イ・ソジン、チョ・ソンハなどが演じてきたイ・サン像に新風をもたらし、百想芸術大賞ほか、2021MBC演技大賞でミニシリーズ部門最優秀演技賞(男性)とベストカップル賞を受賞した。
2013年に映画『監視者たち』で俳優デビューしたジュノは、その後も『ただ愛する仲』『油っこいロマンス』『自白』とキャリアを重ね、キム・ウビン、カン・ハヌルと共演した映画『二十歳』でも瑞々しい演技を見せた。ドラマ『キム課長とソ理事~Bravo! Your Life~』で、丁々発止のやりとりを繰り広げたキム課長役ナムグン・ミンとは、2017KBS演技大賞のベストカップル賞にも選ばれている。
ジュノが所属する2PMは2008年にデビュー、2021年に約5年ぶりにカムバックして磨きのかかった大人の魅力を見せつけた。K-POP第4世代と呼ばれるグループがグローバルで大活躍する今、その土台を作った世代の帰還は奇跡に近い。2PMのメンバーの中ではテギョンやチャンソンの俳優活動も知られている。
韓国のバラエティ番組でジュノがイ・サンの衣装を来て、2PMの大ヒット曲「My House」をキレキレに踊った姿は反響を呼び、音楽番組のチッケム(個人カメラ)映像も伸び続けている。韓国消費者フォーラム主催・主管による“2022ブランド顧客忠誠度大賞”では人物・文化男性俳優部門で1位に選出され(※1)、今、大衆が最も信頼している男性俳優であることを証明したジュノ。次回作は現代劇で財閥後継者を演じるらしく、こちらの日本上陸も待ち遠しい。
ロウン(SF9)『明日』/チャ・ウヌ(ASTRO)『新米史官ク・ヘリョン』
同じ2016年デビューであるSF9のロウン、ASTROのチャ・ウヌは、それぞれ『恋慕』『偶然見つけたハル』、『女神降臨』『私のIDはカンナム美人』といった作品で“演技ドル”の次世代エースとして頭角を現してきた。
ロウンがパク・ウンビンと共演した『恋慕』はNetflixで世界配信され、韓国時代劇の映像美とともに連綿と続く女性蔑視や性差別への言及が注目を集めた。ロウンはOST「No Goodbye In Love」も歌唱している。
ロウンは、4月から配信開始されたファンタジー・ヒューマンドラマ『明日』では一転、就活に絶望する中で死神たちと出会い、ネガティブ感情にとらわれた人々の“極端な選択”を防ぐ危機管理チームに“就職”するチェ・ジュヌンを熱演した。キャラクターとマッチする明るく屈託のないジュヌンは、苦難の人々を放っておけない、見て見ぬフリのできない青年だ。特に校内暴力やネット上の誹謗中傷はK-POPアイドルたちにも暗い影を落としており、演技ドルファンにとっても必見作である(劇中には凄惨な描写もあるので要注意)。
一方、先日、約4年ぶりの日本公演を成功させたばかりのASTROのチャ・ウヌは、漫画から飛び出てきたようなビジュアルを逆手にとり、大人気ウェブ漫画を実写化したラブコメディ『私のIDはカンナム美人』や『女神降臨』で外見史上主義に斬り込んできた。
特におすすめしたいのは時代劇の『新米史官ク・ヘリョン』。演じたのは、世子(跡継ぎ)の弟ながら宮廷の離れに暮らし、偽名で恋愛小説を書いているイ・リム/トウォン大君。宮廷初の女性史官であり、周囲から見下されても屈しない知性と向上心、使命感に溢れたク・ヘリョン(シン・セギョン)に純粋に惹かれていく姿がキュートで心を奪われる。
なお、SF9では、『シグナル』や『SKYキャッスル~上流階級の妻たち~』に出演したチャニもよく知られている。チャニやフィヨンは、イ・ジュニョン(U-KISS JUN)、『パラサイト 半地下の家族』のチョン・ジソ、ATEEZのジョンホ、ユンホ、ソンファ、サンらがK-POPアイドルグループに扮した『イミテーション』にも出演。こうしたK-POP業界の裏側を描くドラマは2011年に放送された『ドリームハイ』以降、定期的に作られている。