『持続可能な恋ですか?』杏花と晴太に降りかかった試練 互いを想う決断のすれ違い

『じぞ恋』杏花と晴太は想い合うからすれ違う

 “自分らしさ”と“人生の優先順位”について描かれた『持続可能な恋ですか?~父と娘の結婚行進曲~』(TBS系)第8話。手探りで“結婚を前提としない持続可能なお付き合い”を模索するヨガインストラクター・沢田杏花(上野樹里)とシングルファーザー・東村晴太(田中圭)の2人にさっそく試練が降りかかる。

 いくら杏花は“仕事ファースト”、晴太は“虹朗(鈴木楽)ファースト”での付き合いとルールを決めたところで、番狂わせはいとも簡単に容赦なく起こる。

 晴太が郊外で仕事中、杏花も独立に向けての大事な商談中に虹朗が熱を出したと連絡を受ける。「こんなのルール違反だってわかってるんですけど」と言う晴太のSOSに、杏花もその連絡を受けすぐさま虹朗の元へ駆けつけようとするも、どうしても商談を切り上げられず、同じく“ルール違反”だと分かりつつもフランスから帰国した颯(磯村勇斗)にピンチヒッターを依頼する。2人の関係性に気がついていながら、晴太に「もしまたこういうことがあったらまず俺に連絡ください」と言える颯は本当に出来すぎだ。もちろん、晴太自身もその裏には“好きな杏花のことを最優先したい”、“杏花の望みを叶えたい”という颯の気持ちがあることを感じているのだろう。だからこそ、早々に杏花との約束を守れなかった自分のことが情けなく、不甲斐ないのかもしれないし、もしかすると独立前の忙しい杏花を支えられるのは自分よりも颯の方だと思った部分もあるかもしれない。

『持続可能な恋ですか』8話

 “自分らしく”いられるように“持続可能な付き合い”を目指そうと設けたルールが、反対に自分たちを何だか不自由にしてしまう“サステナ疲れ”に陥っている説もある杏花と晴太。どちらかの最優先事項を守るためにはやはり時としてもう片方の優先順位を一時的に下げなければならないことももちろんある。その絶対的な優先事項ゆえ、互いに踏み込みすぎず、どこか言いたいことも言えず遠慮している部分が、杏花と晴太には見られるようにも思える。

 さらにここにきて、晴太の元妻で杏花の開業コンサルでもある安奈(瀧内公美)が、大阪のプロジェクトメンバーに抜擢され3年間の転勤も検討していると切り出す。そうなると当然のことながら虹朗は安奈宅との行き来ができなくなり、これまで離婚後も二人三脚で取り組んできた息子の見守り体制が機能しなくなる。

 ここで安奈が2人に向かって「母親になる気がないなら中途半端に虹朗に関わらないでほしい。(中略)もし再婚するなら、私が言うのも勝手だけど虹朗の良い母親になれる人としてほしい、私よりも」と言い、そして「今のとこ、この国ではさ、女性の人生、良いとこ取りは難しいんだよ。全部選んで進むのは相当覚悟がないと。私にはできなかったから」と言葉を振り絞る姿に胸を突かれた。

 安奈は何も杏花だけに問うているのではない。晴太にも、杏花にその“相当の覚悟”を背負わせる覚悟があるのかを問うているのだ。晴太は、このままでは“私の大事なもの”を列挙するノートに書いた虹朗と杏花のどちらもを大事に、幸せにできないと思ってしまったのかもしれない。

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